利益相反

未成年者の財産につき担保権を設定するには、未成年者が法定代理人である親権者または後見人の同意を得て自らの設定行為をする方法と、法定代理人が未成年者を代理しての設定行為をする方法とがあります。つまり担保権を設定するためには、法定代理人の同意または代理を必要とするのであり、法定代理人が親権者である両親の場合には、原則としては、両親が共同してこの同意または代理をする必要があります。したがって、一般的な解答としては、面親が子を代理する形式で法律行為をすればよいということにります。

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面親が常にこの代理権を有しているわけではなく、父または母とその子との利益が相反する行為については、利益が相反する父または母は代理権を有せず、また、この面親が数人の子に対して親権を行なう場合において、その一人と他の子との利益が相反する行為をするときは、子の一方について代理権を有しない利益相反行為といわれるものです。ここに利益相反行為とは、親権者のために利益であり、子のために不利益な行為、または、親権に服する子の一方のために利益であり、他方のために不利益な行為をいいます。そして、この利益、不利益の判断基準として、大審院、最高裁の判例は、親権者の意図やその行為の実質的な効果によって判断すぺきでないとし、その行為自体の外形から判断すぺきものと解しています。つまり利益相反による親権制限の目的は、子の保護にあるために、この見地からすれば、実質的にその必要があるときには、常に利益相反行為に当たるとすればよいのですが、それでは、取引の相手方に不測の不利益を与えるおそれがあるために、利益相反行為であることが第三者側からも予測が可能な場合にのみ、親権を制限することが、子と第三者の利益の調和のために望ましく、利益相反行為か否かは行為の外形で決することにすれば、この目的を達することになり、これが判例理論の根拠であるといえます。
例えば子の財産を親権者が買い受けるとか、親権者の債務について子が保証する等の行為が、行為の実質からしてもその外形からみても利益相反行為になることは明らかですが、子の学資を調達するために親権者みずからが負担した債務に関し、子の財産に抵当権を設定し、現にその借入金を子の学資として使用した場合でも、抵当権設定行為自体は、その行為の外形からして利益相反行為になると解されていいます。しかし、親権者が子を代理して子の名において金銭を借り入れる行為は、たとえその借入金を親権者自らの用途にあてる目的があっても、借入行為は利益相反行為にならないわけです。もっとも、この場合でも相手方がその事情を知っているときは、代理の一般理論により子のために効力は生じません。さらに、例をあげると、親が他人の債務のために子を代理して子の財産につき抵当権を設定する行為は、利益相反行為になりません。しかし、親が他人の債務についてみずから連帯保証をすると同時に子の代理人として連帯保証をし抵当権設定在為をすることは、利益相反行為になります。
親権者みずからは連帯保証をしないが、親権者と他人との間に密接な関係があるとき、例えばこの他人が、親権者が代表者をしている会社であるときにどうみるべきかは問題ですが、親権者が会者代表者であることは、債権者にとって認識可能であるために、利益相反行為にあたると解すべきです。しかし、親権者と他人の関係が友人であるとか親族開係にあるというだけの場合は、消極に解するほかありません。
父または母にこの利益相反が認められるときは、その父または母には代理権がないために、父、母が共同して家庭裁判所に申請し、家庭裁判所に特別代理人を選任して貰います。その特別代理人が利益相反になる父または母に代わって、当該行為について代理権を有し、利益相反にならない他方の親と共同で代理行為をすることになる特別代理人に選任される資格についてはなんら制限がなく、子の親族であることを必要としません。しかし、特別代理人は当該行為の必要性を知り、未成年者の利益のために働くことが期待できる者が選任されることが望ましく、また特別代理人は、善良な管理者の注意をもって事務を処理する義務があります。したがって、特別代理人は、親権者の傀儡であってはならず、もし特別代理人がその任務に違反して親権者のいいなりに行動して子に損害を与えたときは、損害賠償の責めに任しなければなりません。
利益相反行為について親権者がみずから子を代理した行為は、無権代理行為となり、子が成年に達した後にその行為を追認することができるとするのが判例です。追認は、代理人または相手方に対してしなければならず。なお、前記のとおり、ある行為が利益相反行為に当たるか否かの判断は、限界的事例になると、困難です。特別代理人選任不要との事前の判断が前後に覆された場合の法律関係の不安定を避けるため、疑わしい場合には特別代理人を選任しておくことが必要です。

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