債務免除

債務免除とは、債権者が債務者に対する権利を無償で放棄することをいいます。その法的性質については、民法は単独行為としていますが、多くの外国立法例が契約とし、また、利益といえども強制されず、との法理よりすれば、契約とする方が適切であると考えられるので、日本でも解釈上、契約による免除をなすことも有効であるとされています。ただ、免除契約である以上は、無償でなければならないことは当然であり、有償の場合は代物弁済ないし更改ということになります。第三者に対する免除契約も当然に有効です。

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民法の免除は単独行為であるために債権者の債務者に対する一方的意思表示によりなされますが、その意思表示は何ら、形式を必要とせず、その態様も、明示のほか、黙示でもかまいませんが手形債務では、免除される者へ手形を交付するとか、手形自体の破毀をしなければならないと考えられています。
また、条件もしくは期限付免除も債務者に何ら、不利益を課するものではないから許されますが、条件、期限付免除に該当するか否かを判断するのが無難な場合もあります。債権者が一部の連帯債務者に対し、他の連帯債務者が支払わない場合のほかは債権を行使しないと約束する場合」は単に債務者に債権者の契約違反に対し抗弁権を与えたもので案件付免除とはいえないとされます。
主債務者の免除の場合、免除によって債権やそれに付従する各種権利は、消滅します。
全債務中、一部の債務のみ免除することも可能であり、その場合は、免除の範囲内で債務は消滅します。条件、期限付免除の場合は、条件成就、期限到来により債務は消滅します。ただし、将来発生する債務の免除は免除の前提としての債務の存在を欠くので許されません。次に権利の性質等から免除の許されない場合や制限される場合が考えられます。
身分権の場合、財産権であっても身分権と密接な関係のある場合、免除により第三者に不当に不利益を及ぼす場合、には債権者の一方的意思表示のみで権利の消滅を認めることはできません。
不可分債権、不可分債務の免除の場合、不可分債権者の一人が債務者に免除した場合及び債権者が不可分債務の一人に免除した場合には、免除は相対的効力しか持たないので、他の債権者または債務者には影響しません。ただし、後者の場合については、総債務者の為の免除も認められるとする見解もあります。
保証債務の免除の場合、主債務について免除のあった場合には、保証債務の付従性からいって保証債務も消滅します。ただし強制和議によって主債務者が債務の一部免除を得た場合は保証人に影響しません。逆に保証債務につき免除のあった場合には保証債務の別個債務性、独立性より主債務に影響はありません。
連帯債務の免除の場合、連帯債務の一人について債権者のなした免除は、その債務者の負担郁分について他の債務者の債務を消滅させます。問えば、Aに対して、BCDが90万円の連帯債務を負担する場合に、AがBの債務を免除すれば、CDもBの負担部分30万円について債務を免れることになります。
民法四三七条の規定は連帯債務者の一人の債務を免除することはその債務者のみを対内関係においても負担の免除をする意思を債権者は持っているものとの考えを前提としているといえますが、それは実際上の債権者の意思に合致するものか疑間であるとの批判が強くあります。その批判によれば、総債務者の債務を免除する意思で一人の債務者に免除の意思表示をした場合には他の債務者の追認によってその免除を有効とすぺきである、とか、債権者は債務者の内部負担に関係なく自らは請求しない趣旨の免除も有効である、とか、内部負担をも免れさせる意思で他の債務者の債務額には影響しない免除も有効である、などの主張がされています。
債権者が免除をした債務者のみが負担部分を有する場合には、他の債務者は債務の全額を免責されたことになります。
最も議論の対象になっているのが、一人の債務者に対し債務の一部免除をなした場合の他の債務者に対する影響です。判例では全額の免除を受けた場合に比例した割合で、免除された債務者の債務も、他の債務者の債務も滅少するとしていますが、免除額だけ免除された債務者の負担部分が滅少し、他の債務者の債務もそれだけ滅少する、とか、残額が免除された債務者の負担部分を下廻らないかぎり、その者の負担部分は滅少せず、他の債務者の債務も滅少しないとする反対説も主張されています。いずれと考えるのが最も債権者の意思にかなうものといえるかという意思解釈の間題です。
連帯保証債務の免除の場合、主債務の免除は保証債務の付従性から連帯保証人に影響しますが、連帯保証人に免除のあった場合は、連帯保証人には負担部分がないために民法四三七条の準用はなく、したがって主債務者に影響しません。
共同保証債務の免除の場合、共同保証には共同保証人が通常の保証人である場合、共同保証人が連帯保証人の場合、保証連帯の場合がありますが、保証人の一部についてなされた免除の効果は、共同保証人が通常の保証人の場合は保証債務の独立、別個性より他の保証人に影響しません。共同保証人が連帯保証人の場合は、各連帯保証人が連帯して保証債務を負担する旨待約した場合か商法五一一条二項に該当する場合のほかは、他の保証人に影響しません。保証人連帯の場合は保証債務と連帯債務の性質を併有するために民法四三七条の準用により他の保証人に影響します。
割引手形の振出人に対する手形債務の免除の場合、手形割引人の買戻請求権は手形上の権利とは別の、手形債権者の地位を補強する為に当事者間の特約によって発生する権利であるために、割引人は資金の回収の為には遡求権と買戻請求権を併せて有することになり、両者は相互に独立した権利です。したがって割引人が振出人に手形上の債務を免除しても割引依頼人には影響がなく、逆に割引依頼人に対し買戻債務を免除しても、割引人の遡求権には影響はありません。

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