一部代位弁済

債務者以外の第三者が債務者のため債権の一部を弁済し、債務者に対して求償権を有するとき、弁済額の範囲において債権者の有する債権。担保権その他の権利の一部について代位行使を認め、一部弁済者と債権者間の調整をはかる制度です。一部代位についても、弁済をなすにつき正当の利益を有する保証人、物上保証人、連帯債務者などが弁済したとき法律上当然に生じる法定代位とその他正当の利益を有しない第三者が債権者の承諾を得て代位する委任代位とがあります。

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例えば100万円の抵当権付債権のうち、保証人が40万円を債権者に弁済した場合、あるいは、債権者が物上保証人の担保物件を競売して100万円の債権のうち40万円回収したような場合に、債権者の債権およびそれに伴う抵当権その他の従たる権利が弁済された割合だけ、保証人、物上保証人に移転することになります。民法では、代位者は具弁済したる価格に応じて債権者と共に其権利を行う、と規定しており、この規定の解釈上判例と学説が対立しています。判例では、債権者代位者平等主義の立場から債権者と代位者は平等の地位に立ち代位者は債権者と別個独立に、しかも弁済した割合の範囲で按分比例額を請求できることを認めています。物上保証人の例でいえば、物上保証人の債権者に対する責任は消滅し、一部代位者として債務者の一般財産に対して強制執行をすることができるために、債権者が不測の損害を被ることもあり、保証人の例でいえば保証人が40万円弁済して抵当権を実行したところ50万円で競落されたとすると、債権者は30万円、保証人は20万円の配当となり債権者は合計70万円しか回収できないことになります。この判例理論に対しては、抵当権の不可分性に反するとか、債権者を害してまで求償権の保護を認める必要はないという、債権者優先主義の立場からの有力な学説の批判があります。この学説の立場によれば、債権者が抵当権などを実行する場合にのみ、しかも共同してその権利を行使することができ、配当については債権者が優先して回収できることになります。しかし、判例の態度は変っていないために金融取引の実際においては、債権者と保証人間において、実質的に代位権を放棄させる特約をすることが多くなっています。
債権者は、代位者に対して代位した権利の行使をなしやすくしてやる義務を負います。つまり一部代位弁済者に対して債権証書に代位した旨を記入し、担保物件が不動産のときは、代位の附記登記に協力すべきであり、代位者をしてその占有する担保物の保存を監督させなければなりません。また債権者には担保保存義務があり、債権者が抵当権を故意に放棄し、怠慢によって裏失した後、保証人に対して請求した場合は、保証人は求償しえなくなった限度でその責任を免れることができます
債権につき、一部代位弁済があった後、債務者の残債務の不履行により契約を解除する場合、民法では、契約の解除は債権者のみ之を請求することを得、と規定しています。つまり解除権は不可分であり債権者、債務者の契約当事者の地位に付随するものであるために、債権に移転が生じても契約上の当事者の地位の承継は生じないので、代位者は解除権を行使できないものとして、債権者が解除するについても、代仕者の同意は必要ではありません。しかし、債権者が契約を解除すれば、債権は遡及的に消滅するために、債権者の一部受領は非債弁済による不当利得となり、これを悪意の不当利得者に準じて、代位者にその弁済した価額と利息を返還しなければならないものとしています。
銀行や信用金庫などでは、取引約定書、当座勘定貸越約定書、金銭消費貸借および抵当権設定契約書などにおいて、保証人は、本人が貴行との取引によって負担する一切の債務について、この約定を承認のうえ、本人と連帯して債務履行の責を負い、貴行の都合によって担保もしくは他の保証を変更、解除されても異議ありません。保証人が保証債務を履行した場合、代位によって貴行から取得した権利は、本人と責行との取引継続中は、貴行の同意がなければ、これを行使しません。もし貴行の請求があれば、その権利または順位を貴行に無償で譲渡します。という特約条項が押入されています。一項は債権者の担保保存義務を放棄させるものであり、金融機関の地位の安全のため必要に応じて保証人の同意を得ずに担保の差換、変更、解除などができることになり、保証人が不測の損害を受けることもあります。二項は保証人の代位権を放棄させるものであり、三項は代位弁済により得た権利または順位を無償で譲渡させるものです。実務上銀行などはあらかじめ保証人から順位譲渡の契約書など登記に必要な書類を取っておくことも例です。銀行などは、残債権の回収のため損害を被らないため特約しますが、保証人の保護という観点からいえば、通常の保証人にまでこの特約を推及することは疑問であり、その内容方法があまりひどいときは、信義則あるいは権利濫用によって特約を制限することが適当です。

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