第三者による弁済

債務の弁済者は通常債務者本人になります。債務者は、履行補助者を使用し、または履行代行者を任命して弁済することも可能ですが、これらの弁済は法的には債務者による弁済です。しかし第三者が債務の弁済をすることにも意味があります。債権者にとって、債務の履行がなされるということは歓迎すべきところです。もちろん弁済者が債務者本人でなく、第三者に代ることによって弁済の内容が変るということであれば、完全履行でないことになりますが、債務の性質上履行者に代替性があることを前提としての話になりますが、金銭債務の履行については、この点の論議に深入りする必要はありません。

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民法では、第三者が債務の弁済をすることができることを原則としていますが、例外規定の範期が広く、現代の経済活動に合致しないとの批判がなされています。民法に規定されている例外は次のとおりです。
債務の性質が之を許さざるとき、は一身専属の給付を指しますが、これが第三者により弁済されないのは当然のことです。
当事者が反対の意思を表示したるとき、は債権の内容は当事者が自由に決定できるということによるものと思われます。ただ金銭債務に関するかぎりこのような意思表示がなされる意味はほとんどありません。その例外的な場合が、次の場合としてありうるというにすぎません。この意思の表示は第三者による弁済前になされていることを要し、弁済があった後に意思表示がなされても、弁済を無効とするわけではありません。
利害の関係を有せざる第三者は債務者の意思に反して弁済を為すことを得ず、は、債務者に本人の欲しない利益を強制できないということによります。しかし、債務免除は単独でできることや、債務者の意思に反する保証契約を認め、これによる弁済にも求償権を認めていることと比較すると民法の態度は一貫していません。前者は、債権者からされることなので、債務者としては甘受せざるを得ないともいえますが、後者は、第三者が保証人となりその上で弁済することにすれば、利益の強制ができ、四七四条二項は完全に潜脱できることになります。
第三者による弁済が許される時は、弁済は有効であり、債務は満足されて消滅します。その弁済の提供は、本人の弁済と同様の効果を生じます。つまり拒絶すれば受領遅滞となります。第三者は供託をすることもできます。弁済の方法として代物弁済も可能です。債務の内容自体に代物弁済が決められている場合はもちろん可能ですが、弁済者が債権者と契約して代物弁済をすることもできます。弁済をした第三者は、債権者に対し、受取証書の交付や債権証書の返還を自分に対してするよう請求ができます。
弁済をした第三者は、後に債務者に対して求償権を行使できますが、求償権の範囲は、弁済が債務者の依頼による場合、その依頼を受けない場合、その意思に反してする場合のそれぞれによって定まります。債務者に対して求償権を持つ場合民法はこの求償権の効力を確保するため、債権者がその債権について有する担保権等が、求償権の生じた範囲内で弁済者に移転するものとしています。これを弁済による代位といいます。
弁済による代位が生じる要件は
1.弁済により債権を消滅させること。
2.弁済者が債務者に対して求償権を有すること。
3.債権者の同意があること。又は弁済することについて正当の利益を有すること。
になります。民法は弁済による代位を債権者の同意があることと、弁済することについて正当の利益を有することの二つに分けています。弁済することについて正当の利益を有する者が弁済することにより当然債権者に代位する法定代位と、正当の利益を有しない弁済者が弁済と同時に債権者の承諾を得たときに債権者に代位する任意代位との二つです。
弁済することについて正当の利益を有する者、例えば、保証人、物上保証人、連帯債務者、担保物件の第三取得者が当然入りますが、同一債務者に対する後順位担保権者や一部資産が他の債権者により執行されることにより損失を受ける一般債権者らも判例により認められています。この正当の利益を有する者の債務を担保するため債権者が有した諸権利につき当然に代位するので弁済する際に格別の手続を必要としません。一方で、債務者の委託を受けず、さらにその意思に反して弁済をする者は、まず求償権の範囲に制限があるだけでなく、さらに、債権者の承諾を受けなければ、代位もできないので注意が必要です。
この債権者の承諾については、債権者から債務者への通知、もしくは債務者の承諾がなければ、債務者その他の第三者に対杭ができず、また確定日付ある証書によって通知、承諾をしなければ、債務者以外の第三者に対抗できないこととなっています。また、代位すべき担保物件は、一般動産については占有の移転、不動産や登録動産については代位の登記手続をしなければならないこととなりますが、これはすべての代位の場合に共通した注意事項です。
法定代位者間の代位関係は五○一条によって整理されていますが、この中で注意すべきは、保証人はあらかじめ代位の附記登記をしなければ、抵当不動産の第三取得者に代位しないとしている点です。この解釈について従前判例が混乱していたので万全を期すためには、保証人は保証人となったらすぐに代位の附記の仮登記をしておき、弁済後その本登記をする必要がありました。しかし、保証人は、弁済前の第三者取得者には、附記登記なしで代位でき、弁済後附記登記前に担保物件を取得した第三者に対してだけ代位できないという通説が合理的であり、今では最高裁判決も、この趣旨で確立したと考えられます。
債務者のために弁済する者で、後に何ら求償するつもりのないものは、任意代位のままでかまわなく、また、債務者の意思に反してまで弁済するものは、求償が難しいことを覚悟であえて弁済するためによいことになります。しかし後で求償することを考慮するのであれば、ただ事務管理的に弁済するのでなく、債務者債権者双方の承諾を得ることが望ましく、これが求償権の範囲を広くし、弁済による題意を確実にする手続だからです。

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