白地手形に印鑑を押すとどうなるか

 白地手形に印鑑を押して振り出すと、どういう問題を生じるでしょうか。
 手形にはどんな事項を記載しなければならないかは、法律で定められており、これを手形要件といいます。

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 現在、広く使われている銀行協会で定めた統一手形用紙には、定型的な要件はすでに印刷されていますから、ふつう振出しの際に記入しなければならないのは、(1)手形金額、(2)振出地、(3)振出人、(4)振出目、(5)支払期日、(6)受取人の六要件です。押印は要件ではありませんが、実際上、印鑑のない手形はないといってよいでしょう。(2)の振出地は、(3)の振出人の住所としていっしょに記載されるのが通例です。
 また振出人が会社であれば、代表者名も書いて代表者の印鑑を押しますが、受取人については、会社であれば会社名しか書かないのが一般です。
 さてこのような手形要件は、全部書き込んだうえで振り出すのが原則ですが、わざと書き込まないまま振り出して、その後の手形所持人に書き込みをゆだねることも認められます。このようにして、手形要件の一部を未記入(白地)のまま振り出されたものを、白地手形といいます。実際に多いのは、振出しの日付を白地のままにした手形ですが、どの手形要件を白地にしてもかまいません。
 この白地部分は、取り立てに回すときまでに記入(補充)されればよく、しかも手形の所持人であれば、誰でも好きなときに補充することができます。つまり、白地手形を振り出した者は、その後の手形所持人に対して、その所持人が何者であるかを問わず、白地補充権を与えたことになるのです。
 白地手形の危険性は、この白地補充権が濫用されたときに具体化します。いくら白地で振り出すとしても、振出人は受取人との間で、補充内容について、だいたいの約束をしているはずです。たとえば支払期日を白地にしても、支払いは半年ぐらい待つ、それより早い期日を書き込んで、取り立てに回したりしないという話合いができているものです。そして誰が補充するにしろ、当初のその約束に拘束された補充しか許されません。
 しかし実際には、その約束が破られたり、その手形が裏書されていくなかで、誤って伝えられたりして、本来の約束に反した内容の補充がされてしまうことがしばしば起こります。そういうことになった場合に、振出人は最初の受取人以外の者から手形の支払いを求められると、補充内容が違うといって支払拒否することはまずできません。
 補充内容についての当初の約束に違反して、補充権が濫用されているという事実は、「人的抗弁事由」といって、そういう約束があることを知っていた者に対してしか、主張できませんし、振出人の方で「所持人は補充権が濫用されていることを知っていた」と証明しなければならないからです。
 このように、振出人はかってな補充がされたときでも、まずその通りの責任を負わされることになってしまいます。支払いを拒めるケースでも、自分の知らないうちに取り立てに回され、決済されてしまうことにもなります。ですから、白地手形を振り出すことは極力慎まなければなりません。
 金額を白地にすることは、もってのほかですし、支払日を白地にすると、予期しないときに当座預金から引き落とされて、あわてさせられたり、悪くすると不渡りを出すことにもなりかねないのです。
 どうしても支払日を白地にするのなら、せめて何年何月という記載までは書いて何日という部分だけ白地にしておくというくらいの心掛けが必要です。
 受取人欄を白地にすることも、振出人の側からいえば、その手形を振り出す原因となった受取人に対する債務と手形との関連がわかりにくくなるという不利益があるだけですから、避ける方が賢明です。

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