弁済者の確認

弁済は債務者によってなされるのが本来ですが、債務者以外の第三者でも原則として弁済することができます。債権者は、自己の債権が実現されるのであればその目的を達することになるために、それが原則として誰によってなされるかは原則として間題になりません。しかも弁済は法律行為ではなく、準法律行為と解されているために、弁済者の弁済の意思は重要ではありません。しかし勝手に弁済されては、債務者にとって迷惑の場合もあり、また、何らかの理由で支払を拒んでいる場合もあります。そこで次の例外があります。
債務の性質上、第三者による弁済が許されないとき。
当事者が反対の意思表示をしたとき。
弁済について利害関係を有しない第三者が債務者の意思に反して弁済したとき。
以上の場合には、債権者が弁済者から受領しても適法な弁済受領とならず、弁済行為が無効となり、債権者がトラブルを被る恐れがあります。そこで債権者は、弁済者が誰であるかを確認する心要があります。

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貸付債権についてはもっぱら利害関係を有しない第三者が債務者の意思に反して弁済した場合だけ間題となります。利害関係を有しない第三者とは、法律上の直接の利害関係を有しない者の事です。保証人、連帯債務者は実質的には他人の債務を負担するものですが、法的には自分の債務を履行すぺきものであるために、ここにいう第三者に含まれません。物上保証人、担保物件の第三取得者、後順位抵当権者等は債権者の権利の実行の結果、その所有権を失なう恐れがあるために利害関係を有することになります。同様に、債権者からその所有不動産の売渡担保として所布権移転の仮登記を受けており、債務を弁済して担保物を取り戻しできる者、債務者の一般債権者であるが代物弁済の予約が存在し、かつ、その目的物の価格が債務額を超えるため、弁済しなければ債務者の財産が減少する恐れのある場合も、法律上の利害関係があります。以上に反して、利害関係を有する第三者から弁済の委託を受けたにすぎない者、単に債務者と親族関係にある者、他人の印章を不正に使用し抵当不動産の所有名義人となった者、債務者会社の第二会社的立場にある場合は利害関係にないと解されています。
例利害関係を有しない第三者は債務者の意思に反して弁済できませんが、この債務者の意思は、債権者または第三者にあらかじめ表示されていることを要せず、諸般の事情から反対の意思が認定されればよい。第三者において債務者の意思に反することを知らない場合であっても、弁済は無効となります。ただ、学説としては、この意思を狭く解する傾向にあります。本規定の趣旨は、債務者が恩義を受けるのを決して潔しとしない第三者の弁済を認め、あるいは、本来の債権者より苛酷な求償権を行使しようとする第三者の弁済を認めることは、不当に債務者を不利益にするということにあるとされています。しかし、これらの理由も絶対的なものとはいえず狭く解した方が妥当です。そこで反対の意思は第三者が弁済するときに確定されるものであり、しかも、これを認識できる客観的な事情も相当に顕著なものであることを要すると解すべきです。
連帯債務に関する場合、判例では第三者の弁済が連帯債務者の一人の意思に反していなくても、他の連帯債務者の意思に反するときは、後者に対する関係ではその弁済は無効であるとしています。意思に反するか否かの立証責任は、現在ではそれを主張する側、債務者にある実際の処理については、債権者は債務者からその第三者からの弁済について承諾書を受けておくことが望ましい。
第三者が債務者に贈与の意思をもって弁済したのであれば第三者は求償権を有しません。その他の場合には、一般的には事務管理となり、それに基づく求償権を取得することになり、弁済としては有効であるために、債務は消滅することになります。この場合でも弁済が債務者の意思に反するときは、その弁済は無効となります。そこで弁済はなかったことになり、債務は復活することになります。債権者はかかる弁済を受領することは不当利得となり、第三者にそれを返還しなければなりません。又、債権者が担保物件や証書を引き渡したときは、その返還を求めることができます。この場合には、代位は勿論発生しません。第三者が債務者の意思に反しないと信じて債務者のために弁済し、債権者も善意で証書を破棄し、担保を放棄し、または時効によってその債権を失ったときは、債権者が債務者に対して改めて請求することが困難になるために、弁済者は債権者に不当利得による返還を求めえません。そこで、弁済は有効とされ、弁済者は債務者に対しその現に受ける利益の限度において求償権を行使できます。なお、一部の判例では、弁済者が債務者の意思に反する弁済が無効であることを知ってなした場合には、非債弁済の規定が適用され、債権者に不当利得返還請求権を行使しえないとしています。この結果、債権者の債権は目的を達成して消減したことになり、債務者は第三者の損失において債務を免れたことになるために、第三者は債務者に対し不当利得の返還を求めることとなります。
会社更生法、破産法との関係で否認されることがあります。かかる第三者が後で更生会社または破産者になった場合、かかる者の弁済は、債務者の意思に反したか否かにかかわりなく、義務に属さない履行行為あるいは、義務なき偏頗行為として否認されることが多く、否認されれば、債権者はそれを返還しなければならず、その反面、その債権は復活することになります。

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