延滞債権の督促

督促とは、債務を履行して貰いたい旨の意思の通知であり、催告ともいわれています。債権者は弁済を求める等種々の方法によって回収をはかりますが、その前提として、この督促を行ないます。
督促の方法、形式については何も定められていません。ロ頭によっても、書面によっても差し支えなく、また、支払命令の申立、訴えの提起の形によることもあります。通常は、訴訟等の場合を除いて、後日の立証のために内容証明郵便により行ないます。催告に示された数額が過大または過小であっても、債務の同一性が識別されれば、催告としての効力を有します。督促も意思の通知であるから、相手方に到達することを要し、その到達したときから効力が生じます。債務者が所在不明の場合には公示送達の方法によります。手形債権の場合には手形を相手方に呈示して督促することになります。

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督促は債務者、連帯債務者、保証人、連帯保証人に対して行ないます。保証人は催告の抗弁権を有し、債務者に先立って保証人に督促すると、まず、先に債務者に対してなすべきと抗弁される場合があります。
物上保証を負っているにすぎない者、他人の債務のために自己の所有する特定の財産の上に質権または抵当権を設定した者は、法的には、債権者に対し、本来の債務も、また、保証債務も負っていません。しかし、物上保証人は自分の財産が担保目的のため拘束されており、場合によっては、その財産の所有権を失う恐れがあるので、経済的には利害関係は大きくなります。債権者としては、弁済を受ければよいために、物上保証人に代位弁済をするように勧誘することがあり、これは効果的な方法でもあります。
督促の効果として解除権等を発生させる付遅滞の効果、消滅時効の中断、法定重利の発生が存在します。
付遅滞の効果は、債務の期限の状況によって異なります。確定期限付債務の場合は、原則として期限の到来によって遅滞となります。ただし、取立債務の場合には、督促を要し、その時から遅滞となります。また、手形債務等流通証券にあっては、取立債務であることが原則であるために、証券を呈示して督促しなければ、遅滞の効果は生じません。不確定期限付債務の場合は、期限が到来し、かつ、債務者がこれを知ったときから遅滞になるために、債務者は期限の到来を知らなくても、期限到来後に債権者が督促したときは、そのときから遅滞となります。期限の定めのない場合には、原則として履行の請求を受けた時、つまり督促のあったときから遅滞になります。借金債務のような消費貸借による債務にあっては、履行期の定めがないときは、他の債務と異なり、債権者は相当の期間を定めて催告しなければなりません。これは、借主に返還の準備をさせるためです。相当の期間を与えずに行なった督促も、判例上は有効と解されており、ただその効果は、相当の期間経過後に遅滞の効果を生じるとされています。この相当の期間とは、その消費貸借の目的とされているその種類の物を返還するのについて、個々の場合において取引上一般に必要だと認められる期間と解されており、契約の目的や金額その他の具体的的事情により、客観的に決められるのであり、債務者の資力その他の主観的事情によるものではありません。
遅滞に陥っている場合でも、債務者に同時履行の抗弁権を主張できる場合には、遅滞の効果は発生しません。
時効中断の効果は、債務者が同時履行の抗弁権を有する場合でも、督促により発生します。ただし、時効中断事由としての督促は、それほど強力なものではなく、6か月以内に裁判上の請求等をしなければ、中断の効果は発生しません。中断事由としての督促の効果的な方法としては、時効期間満了の間際になって債権者が気づいて、催告による6か月の余裕を作り、その間に訴えの準備をするということがあります。手形債権の督促には、判例では、手形を呈示することを要するとしていますが、学説上では争そわれているところです。
法定重利の発生、延滞されている利息については、督促によって元本に組み入れる権利が認められています。この督促について、債権者は相当の猶予期間をつける必要はありません。この規定は、延滞利息を元本に組み入れる時から遅延利息をつけることを意味するものです。金銭債務不履行の場合に債権者は遅延の時から当然に遅延賠償を請求できるとする民法四一九条と接触することになるために、四一九条は適用されないと解されています。そのように解さないと、利息の延滞によって当然に損害賠償の義務を生じることになり、それは、当然に重利を認め、債務者に酷な結果になるからです。本条の組入利息は約定利息を指しますが、金銭債務不履行の場合の損害賠償金、遅延利息に、四○五条の要件をみたすとき元本に組み入れることができるとするか、あるいは、一般の遅延賠償債務は期限の定めのない債務として、督促により遅滞を生じたその翌日からさらに遅延利息を生じるとすべきかの間題があり、判例は、前者の立場をとって組入を認めています。

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