抗告

家主Xは、借家人Yに対して賃料不払いによる賃貸借契約の解除を理由として、家屋明渡請求の訴えをS地裁に提起しましたが、担当裁判官Rがこれまで同種の事件につき、しばしば借家人側に味方するような判決をしていること、本件の審理においてもXからの期日変更の申立てや証拠調べの申立てを却下していることを理由に、裁判官忌避の申立てをしたのに対し、裁判所は、RがXの期日変更ならびに証拠調べの申立てを却下していることは事実でするが、このことは忌避申立てを正当づけるものではないとして、申立て却下の裁判をしました。
この裁判に対し、Xはどのような不服申立てをどこに提出できるでしょうか。
Xが不服申立ての書面をS地裁に提出したとき、同地裁は原裁判を変更することができるでしょうか。とくに主文はそのままにして、理由の部分を補充したり訂正することができるでしょうか。
なおS地裁は、原裁判を変更するため、あらためて口頭弁論を開き、または証拠調べをすることができるでしょうか。
そして、S高裁が抗告審として原裁判に対する抗告棄却の裁判をしたとき、Xはどのような不服申立てができるでしょうか。

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XがRについて裁判官忌避の申立てをした場合、忌避を理由ありとする裁判に対してYは不服申立てができません。申立て却下の決定に対して、Xは裁判の告知を受けた日から一週間内に即時抗告を、S地裁(原裁判所)またはS高裁(抗告裁判所)に提起しなければなりません。
Xの抗告を受けたS地裁は、即時抗告が適法であれば、S高裁に送付する前に再度の考案に基づく更正をなすことができます。すなわち、Xの抗告を理由ありと認めたときは、その裁判を取り消しうる。裁判の更正は、抗告審の負担を軽減し、事件の簡易迅速な処理のために設けられています。裁判の更正は必ず決定命令の主文の全部または一部の変更が必要であり、主文に影響のない理由のみの訂正は許されません。S地裁は審理の必要上新たに口頭弁論を開き、新事実または新証拠を取り調べ、または利害関係人を審尋することができます。
Xの抗告を理由なしと判断しても、S地裁は抗告裁判所でないから棄却できず、記録をS高裁に送付し、その際抗告に理由のないことの意見を付する。この意見は参考意見に過ぎず、意見を付さないからといって送付の効力がなくなりません。送付により事件はS高裁に移審し、その後はS地裁では更正できません。またS地裁が原裁判を変更した場合、変更された範囲で抗告の理由はなくなり、抗告は目的を達して当然終了します。更正決定のほかに、目的消滅を理由に抗告却下決定をする必要はありません。設例の場合、更正決定の内容は忌避を理由ありとすることになるから、これに対しYは即時抗告できませんが、憲法違背があるときは最高裁に特別抗告をなすことができます。
S高裁が抗告審として原裁判に対する抗告を棄却した場合、最高裁は特別抗告しか扱わないので、再抗告の方法はなく、Xは憲法違背を主張して最高裁に特別抗告をなすか、再審事由ある決定に対し再審抗告をなすことができます。特別抗告は不服を申し立てることのできない確定した決定命令に対し最高裁の憲法判断を受ける特別の制度であるが故に、通常抗告、即時抗告、再抗告に認められる再度の考案をS高裁は行なうことはできません。

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