参加承継と引受承継

Xは、その所有地上にYがなんらの権限なしに家屋を建て居住しているというので、Yに対し家屋収去、土地明渡請求の訴えを提起しました。第一審係属中に、Yはその家屋をZ1に譲渡し、Z1からその家屋を賃借したZ2がそこに住み込みました。
Z1への家屋譲渡、乙の賃借居住の事実が訴訟上明らかとなったのに、訴訟は、なおX・Y間で継続され、口頭弁論の終結に及んだ場合には、どのような判決がなされることになるでしょうか。
Xの方から、Z1およびZ2をこの訴訟のなかに当事者として引き入れることができるでしょうか。できるとすれば、どういう方法によって、どの時点から、Z1・Z2が当事者となるのか。また、そのときYの訴訟上の地位はどうなるでしょうか。
Z1およびZ2は、これまでの訴訟経過がYの側からみてかなり良い線をいっていると考え、この勢いでXの敗訴にもちこみたい。Z1・Z2の方から、この訴訟に当事者として入っていくことはできないでしょうか。できるとすれば、だれを相手方として、どういう請求をすることになるでしょうか。

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家屋収去、土地明渡請求訴訟は、現に係争土地上の家屋の所有者を被告としなければなりません。Yがすでに所有者でなくなった以上、Yに対する訴訟は被告適格を欠く不適法なものとなるし、またYはもはや家屋の管理処分権もなく、係争土地を占拠しているわけでもないから、これに対し請求をすることは理由がないというべきです。したがって裁判所は訴え却下か、請求棄却のいずれかの判決をすべきです。一般に訴訟要件は本案判決の前提をなすから、訴訟要件を欠くときには本案判決はできないとするのが通説ですが、抜本的な本案判決ができるときはむしろこれを優先すべきであるとの説が唱えられています。しかし本設例の場合は、いずれをとるにせよ抜本性という点では大差はないと思われます。
Xは民事訴訟法七四条によりZ1・Z2に対して訴訟引受けの申立てができます。引受けを命じる決定があった時にZ1・Z2は当事者となります。当然承継と異なり承継原因が生じた時に当事者となるのではありません。そこで承継原因発生後、Z1らが訴訟を引き受けるまでの間、Z1らとの関係では相対的に手続が中断されると解するか、当然YにZ1らのために訴訟を追行する適格ありと解するかなど、争いがあります。Yは、Z1らの加入後脱退することになります。
通説によればZ1らは常に民事訴訟法七三条により、大判昭和一一年五月二二日によれば常に七四条によりみずから加入できます。この間にあって、最判昭和三二年九月一七日は、七三条によりうることを明らかにしましたが、七三条によることか排除したかははっきりしません。七三条による場合は申立時にZ1らは当事者となると解されます。Z1・Z2はそれぞれXに対しては家屋収去、土地明渡義務、家屋退去義務不存在追認、Yに対しては家屋所有権、賃借権確認の請求をすることになります。
Xの請求が賃貸借終了に基づく明渡請求のごとく債権的請求権である場合には、(1)Z1らの承継を認めない説、(2)Xが所有者でもあるときは承継を認める説、(3)債権的請求権であっても、賃貸借終了がYの債務不履行による解除であるときのように、Z1らの攻撃防禦上の地位がYのそれに全く依存している場合には承継を認める説に分かれています。

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