選定当事者

Aは、繊維品の販売を業とする老舗であるが倒産しました。Aに対してそれそれ売掛代金債権を有するX1ほか一四名が集会を開き前後策を練りましたが、その席上で、全員の売掛代金債権につき二年間弁済を猶予するとともに、Aの伯父で資産家でもあるYがこれらの服務につきAのために連帯保証をすることによって話がつきました。しかし、その後二年径ったのにかかわらずAが債務を試行しないので、X1ほか一四名は、共同してYを相手どって、保証債務の履行を求める訴えを提起しました。
原告一五名は、選定当事者の制度を利用できるでしょうか。
第一審係属中、X1ほか一三名は、X1、X2を選定当事者としましたが、X15だけは、自身で訴訟を続行したいといい張って同調しなかったとします。この一五名の訴訟上の地位はどうなるでしょうか。
この当事者選定がなされたのち、口頭弁論において、Yは、X3、X4、X5に対する債務は全額弁済ずみである旨を主張しました。X1はこれを認め、X2は逆にこれを否認しました。裁判所はどのように処理すべきでしょうか。
審理の結果、X1は当初からAに対するなんらの債権も有しないことが明らかになりました。裁判所はどのように処理すべきでしょうか。

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共同の利益をもつ多数者が共同で訴訟をする場合に、それらの中から選ばれて、すべての者のために、それに代わって訴訟当事者となる者が選定当事者です。この「共同ノ利益」の理解をめぐっては種々の見解がありますが、多数者が民事訴訟法五九条前段の要件にあたる関係にたち、主要な攻撃防禦方法を共通にする場合にこの利益を認めるものとするのが判例および学説の大勢です。すると、設例の場合は、一五名の債権者がAに対してそれぞれの債権の請求をするのではなく、倒産後の集会で決まったYに対する保証債務の履行を求めるものであるから、五九条の「同一ノ事実上及法律上ノ原因二基クトキ」として、共同の利益の存在を認めることができます。したがって、選定当事者の制度を利用することができます。この選定は訴訟係属後でもできます。
X1ほか一三名は第一審係属中にX1とX2を選定当事者としたのであるから、X1とX2を除いて、他の者は、当然訴訟から脱退します。しかし、X1とX2が受けた判決の効力は、これらの選定者にも及ぶことになります。また、X1とX2は、一つの集団から選ばれた二人であるから、選定者の訴訟追行権を合有するものとして、固有必要的共同訴訟の関係にたつものと解されます。そして、本問の場合に、X15は、この選定当事者X1およびX2と通常共同訴訟の関係において訴訟を続行することになります。
このように、X1とX2は、固有必要的共同訴訟の関係にたつとみるべきです。そこで、本問におけるように、Yが主張する事実についてX1が自白し、X2が否認した場合に、裁判所がいかに処理するかについても、固有必要的共同訴訟における判決の基礎資料の統一確保のためのテクニックに従って処理をすればよいことになります。とすれば、共同訴訟人が勝訴判決を受けるのに役立つという見地からは、裁判所は、X2の否認のほうに効力を認めるべきことになります。
Aに対する債権がないなら、Yに対する保証債務の履行請求権もないことになるから、X1は選定当事者の要件を欠き、その資格を喪失します。これは職権調査事項でありますが、設例ではX2がいるので、裁判所としてはこのX2に総員のための訴訟追行をさせればよいことになります。

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