共有関係と訴訟

大学のヨット部員として親交を結んだX1、X2、X3、X4、X5の五名は、いずれも会社員だが、ボーナスを出し合って、海辺に一戸のセカンドハウスをYから買いました。
夏になったのに、その家屋には相変わらずYが住んでいて引っ越す気配がありません。法学部出身のX1は、単独でYに対し明渡請求の訴えを提起しました。この訴えは適法でしょうか。
X1の訴えが、明渡請求だけでなく、YからX1ほか四名への所有権移転登記手続をも請求するものである場合にはどうでしょうか。
YからX1ほか四名の共有名義に移転登記がなされた後に、Yの父Aが、家屋は自分の所有でYにはなんの権利もないと主張して、X1ほか四名に対し登記抹消請求の訴えを提起しました。X1、X2、X3は、Aの請求を争い、家屋がX1ほか四名の共有であることの確認を求める反訴を提起しました。この反訴は適法でしょうか。X4、X5は、口頭弁論において、Aの請求を認諾すると陳述しましたが、その効力はどうでしょうか。また、X4、X5が当初からAの言い分を争っていない場合、Aは、この両名を被告に加えないで訴えを提起することができるでしょうか。
X1ほか四名の間に不和が生じ、X1、X2、X3、X4は、いずれもこの家屋を売り払って代金を分配しようとの意見ですが、X5だけが反対しています。X1が共有物分割の訴えを提起する場合、だれを被告をすべきでしょうか。

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本問は、共有不動産について共有者の一人が単独で明渡請求の訴えを提起できるかという問題です。この点について、判例は保存行為の理論によって単独でできると解し、この結論は、学説でも支持されています。したがって、X1の本問の訴えは、適法です。
次は、共有者の一人が単独で共有者全員への所有権移転登記手続請求の訴えを提起できるかという問題ですが、この訴えについては、判例は固有心要的共同訴訟だとし、学説でも、移転登記の技術的見地から、これを支持するものが多い。そこで、こうした理解からは、本問のYよりX1ほか四名への所有権移転登記手続の請求は不適法となります。
本問の前段は、共有者の一部の者が共有権の確認の訴えを提起できるかという問題です。この点について最判昭和四六年一〇月七日は、共有者全員がもつ一個の所有権そのものが紛争の対象となっているとして、固有必要的共同訴訟だと解しています。この結論は、学説の多数説の立場でもある。そこで、こうした理解からは、X1、X2、X3よりの共有権確認の反訴は当事者適格を欠いて不適法となります。ところで、以上は共有不動産に関する訴訟の原告適格の問題ですが、これに対し、本問の後段は、被告適格に関する問題です。共有不動産についての登記抹消請求の訴えをだれに提起すべきかについては、共有者全員を被告とすべしとする最高裁判決もありますが、この被告適格についての判例の全体的傾向としては、不可分債務の理論からして固有必要的共同訴訟ではないとする方向にあるといえます。学説にも両説示あります。そこで、もしこの訴えを固有必要的共同訴訟ではないと解すれば、本問の登記抹消請求の訴えは通常共阿訴訟となるから、X4とX5がしたAの請求の認諾はX4A間とX5、A間の訴訟についてだけ効力を生ずることになるし、また、X4とX5を被告に加えないで登記抹消請求の訴えを起こせることになります。これに反し、固有必要的共同訴訟だと解すれば、X4とX5を除いては訴えを起こせないし、X4とX5によるAの請求の認諾もX1らには効力を及ぼさないことになります。
共有物分割の訴えは固有必要的共同訴訟と解されているから、X1は、他の共有者全員を被告とする必要があります。

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