共同訴訟人独立の原則

Y1は、勤務していた会社を退職し、文房具商をはじめましたが、そのさい、X信用金庫から金五〇〇万円の融資を受け、Y1の友人Y2、Y3の連帯保証をしました。期限示きてもY1は借受金の返済ができなかったので、Xは、Y1、Y2、Y3を相手どって訴えを提起し、各自に金五〇〇万円の支払いを命ずる判決を求めました。
口頭弁論において、Y1はXから三年間の期限有余を得たと主張し、Y2、Y3、保証契約は錯誤により無効であるとだけ主張し、期限の猶予については主張しませんでした。証拠調べの結果、期限の猶予があったと裁判所が認め、かつ保証契約につき錯誤はなかったと判断する場合、Y1、Y2、Y3につき、どのような判決をなすべきでしょうか。
口頭弁論において、Y3は、Y2がY3の妻Aを騙してY3の実印をもち出し、Y2、Y3名義で勝手に保証契約をしたものだと主張し、Aの証人尋問を申請しました。Aは、証人としてY3の主張どおりの供述をしました。これに対しY2は、反対尋問をなしうるでしょうか。
被告全員に対するX勝訴の判決が確定し、Y2がXに五〇〇万円を支払いました。Y2がY3に対し二五〇万円の求償請求の訴えを提起したところ、Y3は、X、Y1間の消賃貸借契約の無効を主張しました。裁判所はこれを認めてY2勝訴の判決をすることができるでしょうか。

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設例は通常共同訴訟の場合です。したがって、X、Y1間の訴訟でなされたY1からの期限の猶予の主張が認められ、X、Y2間とX、Y3間の訴訟でこの主張がなくて、Y2とY3からの錯誤による保証契約無効の主張が排斥されたときには、共同訴訟人独立の原則によって、裁判所は、前者の訴訟についてはXの請求を棄却し、後者の訴訟についてはXの請求を認容する判決をすべきことになります。しかし、この結論を修正しようとする学説的努力もいろいろ試みられており、そのなかで、共同訴訟人間に補助参加の利益を認めうる場合には、とくに参加の申立てがなくても補助参加の関係を認むべしとする立場では、Y1の主張はY2やY3のためにもなされたものとなるから、判決はすべてXの請求棄却となります。しかし、最高裁は、この立場を採っていません。
紛争当事者X、Y間で、Xが申請した証人をXにつづいてYが、また、Yが申請した証人をYにつづいてXがそれぞれ尋問するのが反対尋問であり、こうして当事者が中心になって事実関係を明白にしていくものが交互尋問です。ところで、本問の場合には、原告、被告間のほかに、共同被告であるY2とY3間にも利害の対立があります。そこで、反対尋問について、紛争当事者が相手方の申請した証人を尋問するという形式を重視すれば、Y2が証人Aについて反対尋問をすることはできないことになりますが、利害の対立する当事者の手で事実関係を明白にするという反対尋問の趣旨および証拠共通の原則との関係からみれば、証人Aについての主尋問および反対尋問終了後に補充的にY2に反対尋問を行なうことを許すべきことになります。
X、Y3間の訴訟の判決の主文では、Y3がXに五〇〇万円の保証債務を負担することが確定されただけであるから、Y3がY2との間の訴訟でX、Y1間の消費貸借契約の無効を主張することは可能であり、裁判所は、これを認めれば、Y3勝訴の判決をすることもできます。しかし、Y3はX、Y2間の訴訟に補助参加の利益をもつから、この場合に当然に補助参加の関係を認める上述の見解によれば、Y3はY2に対する判決の理由中の判断についても参加的効力を受けるので、Y2からその援用があれば、裁判所は、Y3勝訴の判決をすることはできないことになります。

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