訴えの主観的、追加的併合

Xは、夏休みにS島に旅行し、最近開業したばかりのY観光ホテルに泊まりました。外出しようとしてエレベーターに乗り、行先きボタンを押したところ、エレベーターが急速度で下降して基底に激突し、Xは重傷を負いました。そこでXは、この事故はエレベーターの設置ないし管理のミスによるものだとして、Yに対し金一二〇〇万円の損害賠償請求の訴えを提起しました。
第一審係属中、Xは、口頭弁論において、問題のエレベーターを製作しホテルに取り付けたZ会社を被告に加え、「ZはXに対し金一二〇〇万円を支払え」との判決を求めました。この被告追加は許されるでしょうか。
設例の場合に、Yは、Xの請求を争いつつも、敗訴したときのことを考えて、あらかじめこの訴訟において、Zを相手どって「Xの請求が認容されてYがXに損害賠償として金一二〇〇万円を支払ったときは、ZはYに 対し金一二〇〇万円を支払え」との判決を求めるとの申立てをしました。この申立ては許されるでしょうか。これを許すことは、とくに、YがたんにZに訴訟告知をするにとどまる場合、およびYがZに対し同趣旨の判決を求める別訴を提起し、X・Y問に係属する訴訟との弁論の併合を求める場合と比較して、どのような実益あるいは不都合を生ずるでしょうか。

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本例は、原告が第三者Zを最初から共同被告としようと思えばできたのですが、これを脱落したので、訴訟の途中にこれを被告に追加して併合審判を求める場合です。
かかる追加的併合は、明文の規定はありませんが、有力な学説によって解釈論上認められています。もっとも、学説一般がこれを許容するかどうかは必ずしも明らかではありません。実務ではおそらく、XがZに別訴を提起し、弁論の併合を求めて、これによって併合審判がもたらされることになるでしょう。したがって、かかる追加的併合を認めることは、実質的には併合審判を裁判所の裁量にゆだねるのではなく、当事者の申立権として保障していこうとする意味をもちます。
被告が主導権をとって第三者を追加し、自己の第三者に対する請求についても当該手続のなかで一挙に同時的統一的な解決をはからんとする併合形態です。XからYの在来の訴訟とYからZの関連訴訟とを併合審判に付するものであり、訴訟構造そのものは民事訴訟法七一条の独立当事者参加のような三面訴訟ではなく、通常の主観的併合に変わりないとみられます。
この併合形態が認められれば、被告Yとしては、第二の訴訟を提起する煩わしさから解放され、簡易迅速に権利を実現できるのできわめて便宜でありますが、他面、直接的には自己のあずかり知らない請求を追加され大なり小なり争点の複雑化、判決の遅延がもたらされるおそれがある在米の原告Xの立場、本来の請求が認容されるかどうか、あるいは認容額がいくらか未確定のうちに、関連追加請求について応訴しなければならない第三者Z(追加被告)の立場を考えてみた場合、これら当事者間の利益、不利益のバランスをどうみるかが、この追加の許容性を分かつこととなります。なお、裁判の統一の保障の問題もあります。
訴訟告知により参加的効力を及ぼすという手段は、YがZに対する権利を強制的に実現するには、YがあらためてZを相手どって訴訟を起こし判決を得なければならないという点で、十分ではありません。また別訴の提起、弁論の併合という手段は、弁論の併合は官庁としての同一の裁判所に係属している事件のみが対象となり、さらに既述のごとく、裁判所の自由裁量に委ねられている点に問題が残ります。

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