訴えの主観的、予備的併合

Xは、知人Y1の代理人として金を借りに来たY2に金五〇万円を渡したましたが、Y1は、自分はY2なる者を知らないし、金を借りた覚えはない、といって金を返そうとしないし、Y2の方では、Y1に頼まれて金を借りに行っただけで、金もすぐにY1に渡した、といっています。Xは、Y1・Y2をともに被告として、貸金返還請求の訴えを提起しました。
Xは、第一次的に、Y1に対し五〇万円の支払いを請求するとともに、第二次的に、もしY1に対する請求が認容されないときは無権代理人の責任としてY2に五〇万円の支払いを請求する、というかたちで両請求を併合することが許されるでしょうか。
このような併合が許されるとする場合、第一審において第一次請求につきXが勝訴し、Yが控訴したとすれば、Y2に対する第二次請求はどうなるでしょうか。
このような併合は許されないとする場合、常に許されないというべきか、それとも、例外的に許される場合がありうるでしょうか。
そして、Y1・Y2に対する両請求に順位をつけないで、そのいずれか一方を認容してY1またはY2に五〇万円の支払いを命ずる判決をしてほしい、というかたちで選択的に併合することは、許されないでしょうか。

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Y1に対する請求はY2の代理権の存在を前提とし、Y2に対する請求はY2の代理権の不存在を前提としています。いわゆる訴えの主観的、予備的併合の典型例です。
この併合形態の許容性については多くの議論があります。原告にとってはすこぶる便利ですが、他方、予備的被告(Y2)にとってはその地泣がきわめて不安定、不利益ではないでしょうか、また、本併合形態にあっては、原告がいずれか一方に対して必ず勝訴できるという意味での裁判の統一の保障は、特に上訴との関係で必ずしも達成されないのではないでしょうか、等のデメリットが指摘されています。このあたりの利害得失をどうみるでしょうか、あるいはいかにしてこのデメリットを克服していくかが議論の分かれるところです。最判昭和四三年三月八日は、この併合形態に否定的評価をくだしました。
通説の権成によれば、第一審でXのY1に対する請求を認容する場合、Y2に対する請求については裁判はなされません。しかし、Y1に対する認容判決が確定するまでは、XからY2の訴訟係属は消滅しません。それでは、Y1が控訴した場合、XからY2の請求も一緒に控訴審に上っていくか、それとも依然第一審に眠ったままか。かりに移寝しないとするとき、控訴審が原審と逆の判断をする場合、いかなる処置をすべきか、各自で検討する必要があります。
なお、本併合形態において第一審が第一次請求を認容する場合予備的請求についての棄却判決をすることがどうしてもできないものか、さらに、本併合形態において共同訴訟人独立の原則を貫かねば必然性がはたしてあるのか、いま一度原点に立ち返って考える必要があります。

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