訴えの変更

Xは、Yに対する貸金の弁済を確保するため、Yに約束手形を振出し、交付させましたが、手形金ならびに約定利率による損害金を求める通常訴訟を提起し、第一審では敗訴したので、控訴審で原因関係たる貸金の返還請求に改めようとしました。
この場合は訴えの変更にあたるでしょうか。訴えの変更にあたるとすれば、それが許される場合に該当するでしょうか。
控訴審が、訴えの変更を認めるべきであるとし、貸金の返還請求につき審理した結果、これを理由ありと判断したときは、どのような判決をすべきでしょうか。
次の場合は訴えの変更にあたるでしょうか。また、訴えの変更にあたるとすれば、許される場合に該当するでしょうか。
(イ) 賃貸期間満了を原因とする建物明渡請求を賃貸借契約の解除に基づく同明渡請求に改めた場合。
(ロ) 占有の訴えを本権の訴えに改めた場合。
(ハ) 婚姻予約不履行による慰謝料請求に、同不履行による不当利得の返還請求を追加した場合。
(二) 所有権に基づく物の引渡請求を、その物の滅失による損害賠償請求に改めた場合。

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旧訴訟物理論によれば手形債権と原因債権は別個の債権ですが、一方は他方の変形の関係にあるので請求の基礎には変更はありません。訴えの変更は許されます。しかし新訴訟物理論によれば、両請求は生活利益としては同一であるとの立場にたっても、両請求を別訴で訴求した場合と同一訴訟で訴求した場合を区別する立場にたっても、設例においては訴訟物は一個であり訴えの変更にはあたりません。
請求の基礎を事実関係とみるか前法律的な利益紛争関係とみるか争いはありますが、請求の基礎に変更のない事例にあたるので許されます。
請求の基礎が同一であり、新請求についても事実の審理が実質上なされているから控訴審でも許されます。設例では交換的変更となり旧訴を取り下げることになるので、被告の同意が必要であると解する見解が有力です。被告が同意しない場合、旧訴の取下げの効果が発生せず二個の訴訟が係属することになるので、手形債権については控訴棄却、貸金債権については請求認容判決をすることになります。なお訴えの変更の許否を相手方の同意にかからしめる必要はなく、請求の基礎の同一性のみを問題にして判断すればよいとの見解もあります。
(イ) 賃貸借契約の終了原因ごとに明渡請求の訴訟物が異なると解すれば、訴えの変更にあたります。しかし、新訴訟物理論をとれば、その建物の明渡しということで訴訟物は同一とされ、訴えの変更とならず、旧訴訟物理論をとりつつ同じ結論を導く見解も有力です。
(ロ) 制度の目的が異なると考えれば、訴えの変更にあたります。ただし、両訴は物の返還を直接の目的とするもので、権利の確定、占有侵害の有無の確定は手段にすぎないと解するならば訴えの変更に該当しません。
(ハ) 要件からいっても主張利益からいっても別個のものと解しうるので、訴えの追加的変更にあたるでしょう。
(ニ) 有体物と金銭では支配せらるべき価値を担っているものが異なるので、新訴訟物理論によっても訴えの変更にあたります。

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