訴訟救助

(1) Xは通事故により五〇〇万円の損害を受けたので加害者Yに交渉しましたが、一向に受け付ける様子がないので、訴訟をするほかありません。しかし、Xは年収一〇〇万円にみたない労務者で、とうてい訴訟を進めてゆくに必要な訴訟費用や弁護士費用を支弁できそうにありません。
(2) Y企業の工場廃液による河海の汚染により疾病を生じ、重大な損害を被ったと主張する五〇〇余名が共同して、Yに対し損害賠償請求の訴えを提起し、それと同時に原告全員から訴訟救助の申立がなされました。

設例(1)において、
(イ) Xは、訴訟救助を受けることができるでしょうか。
(ロ) Xが勝訴した場合、弁護士費用をYから取り立てることができるでしょうか。

設例(2)において、
(ハ) 訴訟費用を支払うに足る資力の有無は、申立人全員につき、集団的、画一的に判断されなければならないでしょうか。
(ニ) Y企業の工場廃液による河海の汚染により、操業不可能となった漁業会社があります。このような法人も、また訴訟救助を受けうるでしょうか。

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(イ) 訴訟費用を支払う資力のない者で、その主張から勝訴の見込みがないわけでもない者は、申立てにより訴訟救助をうけることができます。制度論としてどの程度の財産状態の者に訴訟救助を与えるか、とくに基準をどこにおくか、すなわち、被救助者の財産状態を客観的基準とするか、あるいは、個別的に判断するかは重要かつ困難な問題です。日本は個別的に判断するたてまえをとっています。Xの主張から判断して異論なく救助を受けることができるものと解されます。
(ロ) 日本の現行法では弁護士強制主義は採用されず、本人みずから訴訟を追行することができるので弁護士費用は訴訟費用に含まれていません。ただし、事案の難易、請求額、認容された額その他諸般の事情から、相当額の弁護士費用は不法行為と相当因果関係にたつ損害として相手方から取り立てることができます。
(ハ) 公害訴訟においては請求原因事実が定型的でかつ被害が類型的であること、訴訟が長期にわたり訴訟費用が莫大なものになると予想されることなどから、原告全体を単一体として、訴訟救助を付与すべきであるとの見解もありますが、立法論としてはともかく現行法上訴訟費用を支払う資力のある者にまで訴訟救助を付与することには問題があります。訴訟救助の補充性から救助の判断は個別的になされざるを得ません。
(二) 一般的にいって訴訟救助は自然人に限らず法人にも付与されることについては異論はありません。ただし、同一要件か否かは争いのあるところです。外国の立法例ではありますが、法人についてみずからまたは訴訟の経済的利害関係人から資金の調達ができず、かつ権利の保護をはからないと公益を害する場合にかぎり、訴訟救助が付与されうるとして特別の規定をもうけているのが参考とされるべきでしょう。
現行の法律扶助制度が不充分なことは、交通事故訴訟および公害訴訟における訴訟救助の状況にてらしても明らかです。扶助制度の根本的な改革は別として、さしあたり、無資力の要件を緩和すること、たんなる猶予ではなく免除も認めること、訴訟準備の費用および弁護士費用を訴訟費用に合ませること、被救済者敗訴の場合の訴訟費用についての最終的危険負担を国家が負うことの同点について早急に改める必要があります。

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