仮執行宣言

Xは、Yに対し買い受けた肉牛二頭の引渡請求の訴えを提起し、第一審勝訴の仮執宣言付判決を得ました。
Xは、仮執行により引渡しを受けた肉牛を判決確定前に屠殺することができるでしょうか。
第二審係属中に屠殺されてしまった場合、Xは依然として引渡請求を維持できるでしょうか。また、第二審の審理の結果、もともとXに引渡請求権がなかったことが明らかになった場合、YはXに対しどのようにして責任を追求できるでしょうか。
そして、次のような請求に関する判決には、仮執行宣言を付することができるでしょうか。
(イ) 謝罪広告を命ずる判決。
(ロ) 移転または抹消登記手続を命ずる判決。
(ハ) 店舗賃借人に対しての店舗返還請求権を原告に譲渡する意思表示をすることを被告に命ずる判決。
(ニ) 離婚とともに財産分与として金銭支払いを命ずる判決。

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仮執行宣言付判決による執行は、単なる保全執行とは異なり原則として、終局的満足を目ざすものです。だから、Xは仮執行により肉牛の引渡しをうけて請求権を満足させ、さらにこれを基礎として肉牛を屠殺することも妨げられません。
控訴審における続審構造を貫けば、Xの請求権は、仮執行による引渡しにより消滅し、屠殺により履行不能となります。しかし仮執行は、判決未確定の問に、後の手続でこの判決が維持されることを条件として、確定判決によると同様の満足を許すのであるから、控訴審において仮執行の結果を考慮するのは背理です。仮執行による履行はもちろん、これに基づく屠殺をも度外視して、請求権の存否を判断すべきです。
また控訴審において、もともとXの請求権がなかったことになれば、YはXに対して仮執行により給付したものの返還ないし仮執行により生じた損害の無過失賠償責任を追求できます。独立の訴えによることもできますが、控訴審において本案判決を変更する判決とともに裁判を求める申立てができます。
手形、小切手判決については、裁判所の職権による仮執行宣言が義務づけられます。この種の判決は上訴による取消しの可能性が少なく、迅速な執行の必要性が強いうえ、敗訴者に回復し難い損害を与えることも少ないからとされます。一般的に仮執行の必要性を判断する際に考慮すべきこれらの要素が、典型的に具備された事例についての特則といえます。
仮執行は、さらに、後に失効しても原状回復を容易にするため、財産上の請求にかぎられます。(イ)謝罪広告請求は、訴額算定との関係では、財産上の請求とされますが、仮執行においては原状回復の難易が問題となるでしょう。(ロ)財産上の請求であれば、広義の執行のためにも仮執行宣言を付しうりますが、登記手続を命ずる判決は、確定を前提とするから、仮執行に適しません。(ハ)請求権譲渡の意思表示を命ずる判決も同様です。(ニ)財産分与請求権が離婚判決確定を前提とするか否かで結論が異なります。

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