判決の反射効

Xは、Yの占有する動産が自己の所有に属することの確認の訴えを提起し、X勝訴の確定判決を得ました。その後Yの債権者Zは、その債権のための債務名義に基づき動産の差押えをした。これに対し、XからZを相手方として第三者異議の訴えが提起され、そこでXは、すでにX、Y間の確定判決で動産がXの所有に属することが確定されており、その効力はZに対しても及ぶはずであるから、Zは当該動産がYのものであるとして強制執行をなすことはできないと主張しました。
Xの主張は正当か。また、Xの主張する前訴判決の効力とはいかなる性質の効力なのでしょうか。
Zは、X、Y間の前訴はYが執行妨害のためXと共謀して仕組んだ馴合訴訟であるから、Xの主張するような効力は生じないと主張しました。この主張は正当でしょうか。
設例中、X、Y間の訴訟でY勝訴の本案判決確定後にZが当該動産を差し押え、これに対し、Xが第三者異議の訴えを提起したのに対し、Zが前訴判決の効力を援用したとすれば、この援用は理由があるでしょうか。

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ZはX、Y間の確定判決の既判力をうけませんが、その反射効をうける、との見解があります。もともと債権者Zが、債務者Yの動産を差し押える前に、X、Y間の処分によりこれがXに帰属することになれば、この処分行為が詐害行為でないかぎり、Zはこれを承認せざるをえません。このように第三者Zの法的地位が、実作法上X、Y間の一定の処分行為に依存している場合には、Zはこれに対応する内容の判決にも拘束されます。
判決の反射動は、典型的には、主たる債務者の勝訴判決を保証人が有利に援用し、あるいは合名会社の確定判決をその社員の有利または不利に援用できるような、実作法上の作用として構成されます。判例は、賃借人に対する立退判決は転借人に不利な作用を生じないとしますが、これは反射効を確定的に否定したものではありません。
Zは、X、Y間の馴合訴訟による詐害判決の効果を否定できます。判決の反射効は、実作法上の効果であり、馴合いがあれば信義則違反として無効となるからです。一般に第三者が、直接関与しない判決の不利な効力をうけるには、これを防禦できる手続上の保障が要請されます。補助参加や詐害防止のための独立当事者参加ができることや詐害判決に対する再審を認める余地が考えられます。こうした手続的保障を担保に、むしろ既判力の拡張を認める見解もみられます。
逆にZは、X、Y間でXに帰属しないと判決された動産を差し押えた以上、Xの第三者異議の訴えに対して自己に有利にこの判決を援用できます。不利益をうけるXのもつ相対的解決の手続的保障も、Zの法的地位がYに依存するかぎりで制約されます。またXの側からの馴合訴訟の再抗弁は、信義則を根拠とするものであるから、悪意者みずからは提出できません。
判決の既判力と反射効の差異を列挙すればこうなります。既判力は訴訟法上の拘束力であるが、反射効は実作法上の効果である。既判力は職権調査事項であるが、反射効は援用をまって考慮されます。馴合判決の既判力は再審によらなければ無効とならないが、反射動は無効である。既判力をうける第三者は共同訴訟的補助参加ができるが、反射効では通常の補助参加にとどまる。

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