既判力3

A美術館に展示されている万暦赤絵の壷をめぐって、兄Xと弟Yとの聞に所有権の帰属が争われ、Xは、Yを相手どって訴えを提起し、この壷がXの所有に属することを確認するとの判決を求めました。やがて、X勝訴の判決があり確定したので、Xは、かねてからこの壷を欲しがっていたZに高価で売却しました。ところが、A美術館はこの壷をYに返還交付してしまいました。
Yが、Zを相手どって、この壷がYの所有に誤する旨の確認を求める訴えを提起した場合、どのような裁判がなされるべきでしょうか。
Zが、Yを相手どって、壷の引渡しを請求する訴えを提起した場合、設例における確定判決の既判力は、この後訴に及ぶでしょうか。及ぶとすれば、どのような結果が導かれることになるでしょうか。
Xが、Zを相手どって、X・Z間の売買は無効だとして、この壷がXの所有に属する旨の確認を求める訴えを提起した場合、設例における確定判決の既判力は、この後訴に及ぶでしょうか。
ZのYに対する壷引渡請求訴訟において、Z勝訴判決がなされ確定しました。ところが、判決後にAがYからこの壷を譲り受けて、もって行ってしまった。Zとしてはどういう手続をとればよいでしょうか。

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口頭弁論終結後の承継人には、原告側、被告側を問わず、勝訴当事者、敗訴当事者の承継人が含まれます。Zは勝訴当事者たる原告Xの口頭弁論終結後の承継人として、Xと同視される地位にあります。そこで、前とは逆にYが原告となってZに対し、前訴と同様に壷の所有権確認訴訟が提起された場合、前訴判決の既判力は後訴に及ぶ。ただ、承継の有無自体は既判力で確定されておらず、後訴裁判所はこの点を審理し、Zが承継人と認められれば訴えを却下します。
前訴の訴訟物は壷の所有権確認請求であり、その既判力は、後訴請求(引渡請求)の先決問題たる、口頭弁論終結時にXが壷の所有者であった点につき、後訴を拘束します。そこで、後訴では、ZがXの承継人であることを確定し、前訴口頭弁論終結時以後に所有権がYに移ったといった事情の主張、立証がないかぎり、Zが壷の所有者であることを前提として、ZのYに対する壷の引渡請求を認容する本案判決をすることとなります。
既判力は、訴訟を追行した原告、被告相互間あるいは口頭弁論終結後の一方の承継人と相手方当事者あるいはその承継人相互の関係で、裁判所を拘束するものです。そこで、原告Xと被告Yとの関係でXが壷の所有者であることを確定した前訴判決の既判力は、原告Xと原告側の承継人であるZとの間の後訴には及びません。
ZのYに対する壷引渡請求訴訟におけるZ勝訴判決確定後に敗訴被告Yから壹を譲り受けてもって行ったAは、Zとの関係においてYの口頭弁論終結後の承継人です。そこで、Aには確定した給付判決の効力である執行力が拡張されます。そこで、ZはAに対して別訴を提起する必要も利益もなく、承継が裁判所に明らかでない場合には、証明書でもって承継を証明して承継執行文の付与を受けたうえ、直接にAに対して執行しうることとなります。ただし、証明書でもってY、A間の承継関係を証明することができず承継執行文の付与をえられない場合には、別個に承継執行文付与の訴えを提起し、Y、A間の承継関係を証明して承継執行文の付与を受け、Aに対して執行しうることとなります。

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