既判力1

Xは、友人Yに懇請され、金七〇万円を貸与しましたが、期限をすぎて催促しても返してくれないので、Yに対し貸金返還請求の訴えを提起し、勝訴の確定判決を得ました。
その後も、Yは依然として金を返さないので、Xは、再び同じ貸金返還請求の訴えを提起しました。この訴えは適法でしょうか。
設例の訴訟において、Xの請求を棄却する判決がなされ確定したのであったとすれば、Xの再訴は、どのように処理されるべきでしょうか。
設例におけるX勝訴判決の確定後に、YがXを相手どって訴えを提起し、金を借りたのは自分ではなかったと主張して、貸金債務の不存在確認の判決を求めたとします。この訴えは適法でしょうか。
Xは、勝訴の確定判決に基づいてYの家財を差し押え、競売の売得金から金七〇万円を受領しました。ところが、Yは、貸金債務は判決より前にYの父Aの弁済により消滅していたものであるとして、Xに対し金七〇万円の不当利得返還を請求する訴えを提起しました。前訴判決の既判力は、この訴訟に及ぶでしょうか。

スポンサーリンク

お金を借りる!

判決原本が滅失したとか、時効中断のため他に簡易な方法がないといった場合のように、再度の訴訟制度の利用を許すだけの特別の必要性がないかぎり、Xの後訴は不適法です。民事事件の場合には時的要素を入れて考えると厳密に同一事件というものはないという点を重視し、既判力の本来の作用は同一事項について抵触する判断を許さないことだけにあるとみる通説的見解は、後訴を不適法とする根拠を、訴えの利益の欠訣に求めるのに対して、既判力の本質は一事不再理にあるとみる一事不再理説は、一事不再理として再訴は許されないことに求めます。いずれの見解に立つにしても、時効中断の必要だけから再訴を許すような場合、債務名義の重複は避けるべきであるから、その再訴は請求権確認訴訟で足りると解すべきです。
通説の立場では、Xの再訴は訴えの利益を欠くものではなく、再訴において前訴の判断と抵触する判断をなすことは許されないという理由から、前訴の判断を援用し、これに基づいて本案判決をなし、Xの請求を棄却することになる。一事不再理説の立場では、同一事件を再変蒸し返すことは紛争の最終的解決としての裁判の本質に反するということ、すなわち一事不再理の理念に基づいて、再訴を許さないとして却下することになります。
この場合も、既判力の根拠や本質をどう理解するかにより、実際上の取扱いが変わってきます。通説によると、既判力の本来の作用としては同一事項について前訴の判断と矛盾する判断ができないことになるだけであるから、Yの後訴が頭から不適法として却下されるのではありません。標準時後の債務の消滅が認められなければ、Yは請求棄却の判決を受ける。このケースでは、Yの主張は標準時前の事由に基づくものであり、既判力に反します。一事不再理説の立場を貫けば、後訴は同一事件の蒸返しであり、不適法となります。
訴訟物は前訴と後訴とで異なりますが、前訴判決の既判力の及ぶ事項が後訴の訴訟物の先決問題として判断されなければならない場合であり、いずれの説でも、既判力が後訴に及ぶことを認めます。通説は、それを既判力の積極的効果として説明します。一事不再理説では、先決問題に対する関係では、やはり一事不再理の原理が働き、再度の審判が禁止されると説明することになります。

お金を借りる!

裁判上の自白1/ 裁判上の自白2/ 自由な証明/ 証明責任1/ 証明責任2/ 証拠申出の採否/ 鑑定/ 当事者尋問/ 裁判上の和解1/ 裁判上の和解2/ 中間判決/ 判決の更正/ 確定判決の不当取得/ 既判力1/ 既判力2/ 既判力3/ 既判力4/ 既判力5/ 既判力6/ 争点効/ 判決の反射効/ 仮執行宣言/ 訴訟救助/ 請求の予備的併合/ 訴えの変更/ 反訴/ 多数当事者紛争と訴訟/ 訴えの主観的、予備的併合/ 訴えの主観的、追加的併合/ 共同訴訟人独立の原則/ 必要的共同訴訟/ 共有関係と訴訟/ 選定当事者/ 補助参加1/ 補助参加2/ 独立当事者参加1/ 独立当事者参加2/ 控訴手続の中断と受継/ 参加承継と引受承継/ 控訴の利益/ 附帯控訴/ 不利益変更の禁止/ 破棄判決の拘束力/ 抗告/ 再審1/ 再審2/ 督促手続/ 手形訴訟/