判決の更正

設例(1) 控訴審係属中Xが死亡したが、訴訟代理人が選任されているため、訴訟手続が中断しないまま審理が続行され、Xを当事者とするX勝訴の判決がなされました。これに対しYから上告があり、目下上告審に係属中。
設例(2)仮換地として乙地が指定された甲地をYから買い受けたXは、Yを相手方として処分禁止の仮処分を申請しましたが、その際、仮処分の対象として、仮換地にあたる場所につき現在登記簿上表示されているところに従い、「××町××番地宅地××坪」と掲記したので、掲記の土地につき処分禁止仮処分が見せられました。しかし、このような仮処分では処分票止の登記をしてもらえないことが分かったので、仮処分の対象の表示を甲地の登記簿上の表示にあわせて「○○町○○番地宅地○○坪」に更正するよう申し立てました。
設例(1)について、民事訴訟法一九四条の「明白ナル誤謬アルトキ」にあたるでしょうか。X側は上告裁判所に対し更正の申立てをすることができるでしょうか。更正はつねに決定でするか。とくに職権でするときは終局判決でもできるでしょうか。
設例(1)において、かりに控訴審で受命裁判官によって和解がなされたとすれば、和解調書の更正決定は受命裁判官がするのでしょうか、受訴裁判所がするのでしょうか。
設例(2)について、本件仮処分決定の更正申立ては許されるでしょうか。

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判決の更正は、判決の判断内容を実質的に変更せず、かつ判決書に違算、書損じその他これに類する明白な誤謬あるときに限り、訂正補充してより完全なものにするために認められるものです。これにより、既判力の範囲の不明確を除き、強制執行や戸籍登記の記載など広義の執行に生じうる支障が排除されます。設例の如く、訴訟代理人があるときは、委任した当事者が死亡しても訴訟手続は中断せず、訴訟代理人は、以役所当事者の訴訟代理人たる性格を有し、審理は続行されます。この場合、当事者の変動 はあるが中断受継の手続が省略されただけであって、判決には当事者として所当事者を表示すべきで、旧当事者を表示しているときは、判決を更正すべきです。
更正決定をするのは判決裁判所の専権に属するとの立場と、上訴の係属する上級裁判所にも更正権限を認める判例の立場に賛成する有力説が対立しています。
更正の裁判は決定します。これは判決と同一の効力を有します。なお、第一審の判決主文に明白な誤謬がある場合、控訴裁判所が控訴棄却の裁判をするにあたり、判決の理由中に理由を示し、主文において誤謬を更正しても違法ではないとされます。
和解調書も判決と同一の効力を有するから、明らかな誤謬がある場合には更正決定ができますが、受命裁判官は、合議体がその構成員の一部をして法定の事項を委任するものであって、受訴裁判所ではないから、受命裁判官によって和解がなされても、和解調書の更正は受訴裁判所がするのです。
仮換地を目的とする売買等の処分は法形式上は従前の土地を対象としてなされねばならず、仮換地の入手保全のための処分禁止の仮処分も従前の土地についてなすべきです。もし誤って仮換地そのものを表示した場合、従前の土地の表示の明白な誤謬として更正申立てが許されます。

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