中間判決

X運転の乗用車とY運転のライトバンが路上で衝突し、Xは、負傷および乗用車の破損による一五〇万円の損害賠償請求の訴えを提起したところ、裁判所は審理の対象を請求の原因の問題と数額の問題に区分し、前者に弁論を制限して審理を進め、まず請求の原因があるとの中間判決をしました。
この中間判決後の手続中、次のような攻撃防御方法を提出することは許されるでしょうか。
(イ) Xが、従来の一五〇万円の請求に加えて新たに弁護士費用として三〇万円の請求をする。
(ロ) Yが、Xの側にも三割の過失ありとして過失相殺を主張する。
(ハ) Yが、同一衝突事故で自分も負傷しライトバンの破損、弁護士選任により合計一ニ〇万円の損害賠償償権を取得したとして、これに基づく相殺を主張する。
Yは、中間判決に対してどのような不服申立て手段を有するでしょうか。
中間判決後審理が続行され、Xに対し九〇万円を支払えとのY敗訴の終局判決がなされました。Yが控訴したところ、控訴審は終局判決だけを取り消して事件を原審に差し戻しました。この場合、さきの中間判決は差戻しを受けた原審を拘束するでしょうか。

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中間判決は、後になさるべき終局判決に先立ち、終局判決の際に判断すべき本案または訴訟手続に関する個々の争点に決着をつけて終局判決を準備する判決です。訴えまたは上訴の全部または一部につきこれを完結させる終局判決と異なり、訴訟物じたいに決着を与えるものではありません。裁判所は終局判決に際して中間判決の主文で示した判断に拘束されます。中間判決は裁判所の裁量によります。設例は、請求の原因および数額について争いがある場合に、まず請求の原因について中間判決をなすいわゆる原因判決に関するものです。ここにいう請求の原因とは、請求を理由あらしめる一切の事実からその一部をなす数額を除いた残部のことをいいます。(イ)原因判決の拘束力は、判断の対象とされた請求の原因について及び、数額については及ばないから、その後請求が拡張されれば、拡張部分の原因の審理に必要な限り、旧部分につき提出できない主張もなすことができる。それゆえ新たに弁護士費用の請求を追加することができます。
原因判決をするには請求の原因が裁判をするに熟し、しかもそれが肯定される場合でなければなりません。そして、被告の抗弁中、(ロ)過失相殺の主張は、損害額のほか責任の有無を定めるについて問題となり、(ハ)相殺の抗弁も請求の原因に関するものであり、中間判決の遮断効が働くから原因判決前にそれを主張しなければなりません。
中間判決に対しては、独立して上訴はできず、終局判決をまって、これに対する控訴または上告をすれば、これと共に中間判決に対しても不服を申し立てて上級審の判断を受けることになります。
上級審で終局判決だけを取り消して、原審へ差し戻した場合は、中間判決はなお有動で、差戻しを受けた裁判所を拘束します。
日本では、和解または取下げの無効に関して中間判決で宣言する場合を除いては、実務上中間判決はあまり行なわれていませんが、ドイツでは、交通事故による損害賠償事件において原因判決が大いに利用されています。この種の事件において、日本でも原因判決の制度の活用が期待されます。

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