隣りの建物による通風や日照妨害

現実には、隣他者同士が土地所有権の絶対比を互いに主張し合ったのでは、とうてい平静な社会生活を営むことができませんので、所有権者の間に互助、互譲が要求され、民法も相隣地所有権者のそれを規定しています。したがって、自己の土地だからといって、隣近所の迷惑を考えず通風、採光を妨げるような高い建物をほしいままに建てることは抑制しなければならず、また、これまで近隣が空地であって採光、通風のよい土地だったからといって、隣地者がその土地を利用しようというのを絶対に阻止するという身勝手な主張も許されないわけです。この両者の権利行使の調和点をどこに認めるかがむずかしい問題ですが、これをこえる権利の主張は濫用として許されないということになりましよう。

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甲他の建物によって乙地の日照や通風が妨げられたとき、乙地地主などは、それによって受けた損害の賠償を求めることができますし、また、甲地に商い建物を建てようとするのを、乙地地主などは、日照、通風を妨げられるおそれがあるとして、差止めを求めることができます。ところで、この差止請求は、乙地地主の所有権または借地人の借地権の行使によるべきものと解せられています。したがって、甲地における建築主や請負人の過失の有無は問題とならないわけです。乙地地主や借地人以外に、一時滞在者、入院患者なども健康な生活をする人格権の侵害を理由としてそれらの請求ができると解すれば、同様の結果となりますが、日照侵害除去請求権者は、やはり、地主か借地人かに限るべきだろうと思います。また、人格権や土地、家屋の経済価格を侵害したという不法行為に対する損害賠償の訴えは、相手の故意、過失を立証する必要がありますが、それは可能でしょう。
いずれにしても、日照、通風妨害に対する救済の許否は、その地域、住宅地区、商・工業地区、郊外・農山村などによって異なるもので、一応、行政上地域指定がなされ、また建築基準法によって建ぺい率などが定められている場合、これに違反しない建築による近隣地の日照妨害などは忍容するほかないともいえますが、法に従っておりさえすれば一切免責されるというわけのものではありません。したがって、これらを考慮したうえで、建築物の公益性、被侵害者の居住、健康保持のための採光、通風の緊要度、その地域の一般環境など諸般の事情を考量して、救済の許否、その程度、損害賠償か、建築禁止あるいは一部構造変更かなどが決せられることになりましょう。
民法は、境界線より一メートル未満の距離において他人の宅地を観望すべき窓を設ける者は目隠しをつけよと規定していますが、これは法的ギリギリの線で、道義的には、一メートル以上離れていれば、他人の家を観望し、そのプライバシーを侵すような窓をつけてよい、というわけではありません。
のぞかれる方でも、ある程度遮蔽をするなどして自衛することが必要ですが、のぞけるような窓はできるだけ避けるべきです。隣地の庭や遠方の風景を自然に利用することは、借景などといって、許されています。けれども、隣家の住居をのぞき込むような窓は徳義上慎むべきであり、通風、採光のため必要ならば、人の目より高い処につけるとか、見下ろせぬように目隠しをするのが、社会生活における礼儀でしょう。
法律も、この礼儀道徳を無視すべきではないので、被害者はこのような窓のつけ変えとか、目隠しを作るべしとの請求や、精神上の苦痛に対する慰謝料を請求することができるものと解してよいと思います。

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