賠償の対象となる損害の種類

例えば、弁護士が車にはねられて脚を骨折し、一ヵ月間入院したとします。その際、骨折したときから治癒するまでの苦痛(精神的損害)や、一ヵ月間の入院治療費および、一ヵ月間弁護士業務をできなかったためこうむった損失、減収などが、事故によって弁護士に生じた損害ということになりましょう。
では、加害者は、事故を原因とするすべての損害を賠償しなければならないのでしょうか。一例をあげると、交差点で車が接触したためころんだ歩行者が、予定の列車に乗れず次のに乗ったところ、これが脱線し、死亡したような場合、自動車の運転手(加害者)は、歩行者(被害者)の死亡による損害まで賠償しなければならない、とはいえないように思います。そこで一般的にいって、事故によって「通常生ずると考えられる損害」(通常生ずべき損害)と、「その他の損害で、事故当時に加害者が生ずるであろうと予想した事情による損害」(特別事情による損害)を加害者は賠償すればよい、ということになっています。難しくいうと、事故と「相当因果関係」にたつ損害を賠償すればよいのです。

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交通事故の場合、事故の当時にこれこれの損害が生じるであろうとすべてを予想するというようなことは、ほとんど考えられませんから、その出費が必要であったか、被害者にとって相当のものか、一般的にみて合理性があるか、というような観点から、個々的に決めていく必要があります。例えば、治療費、入院費、死亡による葬儀費用などは当然として、事故のため要した交通、通信費や入院中の食費、雑品購入費、温泉療養費なども、相当と認められるかぎり、相当因果関係にたつ損害とみられますが、快気(本復)祝とか墓碑建立の費用などの賠償請求は認められません。最近は、入院の際に買い入れた布団、敷布、ねまきから、湯呑、コップ、スプーン、さらにはチリ紙、石けんにいたるまでの費用や、入院中の新聞購読料、入院によって休学した子どもの学習補習費など、細かなものまで請求するようですが、そうした傾向はどんなものかと思います。訴訟が遅れますし、手間のかかるわりには実効性がないというのが実情のようです。
特別事情による損害の認定はなかなかむずかしい問題ですが、その賠償請求が認められたものとしては、次のような例示あります。運転手のハンドル操作に誤りがあって、低地に転げ落ちたバスの乗客のなかに、精神病質の人がおり、ショックのため心気症となり、これによるいろいろな症状を治療するのに多額の費用を要した場合について、裁判所は、この治療費を特別事情による損害と認めました。バスを運行する者としては、乗客中に精神病質者示いることをあらかじめ予想すべきであった、というふうに判示していますが、これに対しては「不可能をしいるもの」との批判も、十分考えられるところです。
事故と相当因果関係のある損害はすべて賠償してもらえますが、被害者にも過失があったため事故が起きたときには、その過失の程度に応じて損害賠償の額が減らされます。これを「過失相殺」とよびます。過失相殺の考え方は、事故により外傷をうけた被害者が、軽傷だと思い専門医の治療をうけないでほおっておいたところ、傷口がひどく化膿して大きな損害を被ったときのように、被害者が過失によって損害を拡がらせた場合にも適用されます。無理な追越しをしようとして、反対側からきた自動車と衝突した場合とか、道路の右端によらなかったり、ぼんやり歩いていたため、車にはねられたとき、あるいは、ブレーキの故障している自動車を、そうと知りながら運転していて、他の自動車と衝突したような場合などには、過失相殺が問題になります。また、幼い子どもや狂人が道路に飛び出して車にひかれた場合に、これらの者を監督しなければならない保護者(親とか後見人)の監督に落度があれば、賠償額の算定についてその落度、過失が考慮されることになります。

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