遺産分割の方法

人が死にますと、その財産は、その人の生存を前提として認められるいわゆる一身専属のものでないかぎり、一切がその法律上の相続人や受遺者に移転し、それらの人が多数あれば、その相続分の割合で共有に属することになると解されています。このように、死亡により当然相続人に財産権が帰属するので、旧民法当時の家督相続のように新しく戸主となった者が相続届を役場へ提出するというようなことがないものですから、不動産など登記をしないで故人の名義のままにしているため、まだ相続していないと思っている人もよくあります。登記は故人の名義のままでも、戸籍謄本などで相続関係を調査すれば、現在の所有権が誰々に共有されているかが分かるわけです。
ところで、この共有不動産などを売却処分するには、一筆毎に、現在の共有者たる相続人全員の印鑑証明を付した売却承諾の捺印がいりますが、時には、二、三代を経ていて現在の共有者が五〇数名もあり、その中には、未成年者や、外国在住者、行方生死不明者などあって、その印鑑や承諾を集めるのに大変な苦労をすることもありますので、一定の持分以上の共同相続人の同意で処分できるとか、相続人の代表者を選定する方法などの立法が望ましいところです。とにかく、共同相続人の数があまり多くならないうちに分割手続をして、不動産などを単独の所有権の状態にしておく心掛けが必要ということになります。

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遺産は、現金、有価証券、書画、骨董品、特許権、著作権、家財道具、貸金債権、借金債務、土地建物、立木(不動産)などいろいろの種類の財産から構成されています。そして、法律上定まった相続人が合同してこれらの財産を所有することになります。この所有関係を、学説は、合有関係で各共同相続人の持分はなく全体として保有するのだとするものが多数ですが、判例は、民法人九八条に忠実に、共有とし、組成する一個一個の財産が共有になると解しています。したがって、動産の場合は、その動産を占有している一相続人が自己の物だといって他人に売却すれば、他人が即時取得してしまい、あとは持分を無断で売られたられた他の相続人と売った者との間の賠償問題で第三者に迷惑の及ぶことは少ないのですが、不動産ですと、かりに印鑑偽造などして一相続人が他人に売却、登記した場合、その不動産に持分を有する他の相続人の持分がどうなるのか、登記された限り第三取得者に対抗しえなくなるのか、処分した者の持分だけが移転し、他の共有者の持分は各自に残り、変更登記を求めうるのか、処分行為自体が全共有者の同意がないので無効となるのか、解釈上の疑問が残っています。
そこで、早いうちに遺産の分割をして、共有にしろ含有にしろ、とにかく全体で保有する状態を終了させることが望ましいのです。分割とは、遺産を組成する各種の財産を、その種類、性質、各相続人の職業、その他一切の事情を考慮して、各相続人の相続分の割合に従って各相続人に割り当て、相続開始、すなわち被相続人の死亡の時から単独所有であったような権利関係をもたらすことをいいます。そして、某社株券何株、某画伯の画幅、何番地宅地、建物を甲、現金何円、自動車一台を乙、工場建物およびその敷地の借地権、特許権を丙、というふうに分割する協議書を作り、各人が印鑑証明付で押印すれば、この協議書によって登記、登録、名義書換などもできることになります。
分割の協議は民法九〇六条の規準に従うべきですが、各種財産の評価や相続分の計算はかなり主観的になされざるをえませんから、協議さえ調えば、問題なく効力を認めてよいと思います。しかし、欲する財産がかちあったり、評価の争いがあったりして協議が調わない場合は、調停を申し立て、調停不調のときは家庭裁判所が協議に代わる分割の審判をすることになります。
新民法施行当時は、価値が低くあまり分割の実益もなくて争われなかった農地なども、今日では地価の値上りによって、分割の要求を共同相続人がもつことになり、多くの分割事件が家庭裁判所の苦心の審判で解決されています。

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