誰が親の扶養をするか

独立した次男や嫁に行った娘も親を扶養しなければならないのでしょうか。そして嫁には亡夫の親を扶養する義務があるのでしょうか。
直系血族および兄弟姉妹は互いに扶養する義務を負う、と民法八七七条は規定しています。したがって、子であるかぎり、独立し一家を構えている次男や他家に嫁いだ娘も、家に跡とりとして残っている長男と同じように親を扶養する義務を負っています。
戦後に民法が改正されるまでは、家の制度が認められていましたので、親と同じ家にいる子、ことに、家督相続人となる地位にある長男などが、分家したり他家に嫁したり養子にいったりしている次、三男や娘よりも先順位で扶養する義務がありました。
しかし、家の制度が廃された今日においては、子は氏の異同、同居すると否とを問わず、親を扶養する義務を負います。日本では、家の跡とりが親をみるべきだという考え方がなお強く残っているため、次、三男や他家へ嫁いだ娘は、親をみる必要がないとか、誰も親をみる必要がなくなったとかいう誤解がかなり世間一般にありますが、決してそんなことはないので、子はみな親を扶養する義務を負うのです。これは、親の死亡の場合に子が平等に相続権があることの反面だともいえましょう。
ただ、子のうちには、能力があってよく活躍し所得の多い者もあり、あまり能力がなく働かないとか、不幸、災厄などのために無資力の者もありますので、扶養の程度や、引き取って扶養するか扶養料を出すかなどの扶養の方法などは、子の間で協議して定めることになります。協議ができないときや協議がととのわないときは、その資力やその他一切の事情を考慮して家庭裁判所が審判で決するのです。
民法には、子のうち、誰が親の引取りや世話や看護をなすべきかについて定めがありませんので、誰も、その配偶者と親との折合いわるいことなどから、引き取ることを望まないような場合には、結局、子がその資力に応じて扶養料を出し合い、親は養老院とか老人ホームなどで世話を受けなければならないということになるほかないでしょう。
扶養の程度は、親と子どもだちとの協議できめるべきですが、子のうち、親思いの者、愛情深い者が親を引き取って世話し、他の子が知らん顔しているということは許されません。これを許すと、慈愛深い者が損をし、冷淡な者が得をすることになるからです。

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昔は、本来扶養義務ある者が扶養した場合は、自分の義務を履行したのにすぎないから、他の扶養義務者に費用分担を請求することはできない、と解する考え方がありました。しかし、戦後、最高裁判所は、子はそれぞれ資力に応じた扶養料を負担する義務を負っているわけであって、一人の子が全部の扶養料や扶養負担をした場合には、他の子の負担部分を償還してもらう権利がある、ということを判決で宣言しました。つまり、他人の扶養負担部分を立替払いしたことになるので、返してもらうことができるわけです。ただし、どれだけの負担をすべきかは、協議ができればよいが、不調のときは、家庭裁判所の審判で定められるべきだとしています。
夫が死亡しても、夫の遺妻と夫の父母との間の姻族関係は消滅せず、姻族二親等の関係があることになります。それで、三親等内の親族として特別の事情があるときは、家庭裁判所が扶養義務を負わせることができることになっています。夫が家族を養う財産のほとんどをもっていて死亡し、子どもと嫁がそれらの財産を全部相続して、亡夫の母が無財産で病気とか老いて働けない場合など、嫁は扶養義務を負わせられるべき特別の事情があるときといえると思います。
この場合、老母は嫁や孫に対して扶養の調停を申し立てる必要があります。ただ、嫁の一方的意思で姻族関係終了届を役場に出すことができ、これによって亡夫の親との姻族関係が消滅してしまうことになっていますので、調停の進行の途中にこの届出が出されたため、老母に嫁に対する扶養請求権がなくなり、調停のしようもないというような不都合が起こることがあります。

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