結婚していない女性との間に生まれた子

結婚していない女性といっても、いろいろあります。民法では、婚姻届をすることで法律上の夫婦となるのですから、結婚式をして披露宴を張って、親族、友人みなが祝福し、近隣の人々も夫婦であると認めている男女も、届出を受理されるまでは、法律上はまだ夫婦ではありません。このような夫婦を内縁の夫婦といっており、通常は、婚姻届出書類が不備で、例えば本籍地外で婚姻届をする際に添えて出すべき男女双方の戸籍謄本がないとか、届書の本籍の誤記訂正の押印がないとかで、届出の受理かおくれている間などにしばらくの間生ずることが多いと思います。しかし、夫婦仲がうまくいかないとか、父母や親戚に反対があるとか、男女共にいわゆる「跡とり」で、氏がなくなるのが都合が悪いとか、先妻の子どもの反対を恐れるとか、様々の事情で、わざと婚姻届をせず、内縁のままでとどまるという場合もあります。
また、正妻がある男が継続的に関係をもつ二号とか妾とかいう関係の女性、あるいは、将来結婚する約束も気持もない、たんに性関係の相手方にすぎない女性もあります。
いわゆる内縁の妻との間に生まれた子も、二号やたんなる性関係で生まれた子も、ほとんど同様に、生母の非嫡出子として母の氏を称し、母の戸籍に、母からの出生届によって記載されます。母は、非嫡出子の出生届をすると、従来の戸籍より出て、母と子の新しい戸籍が作製されます。子の戸籍は父の欄が空白で、法律上は父なし子ということになります。
真実の父がこのような子を正式に自分の子とするためには、つまり法律上の父子関係を生じさせるためには、その父が、その子を認知する旨の届を戸籍役場へ出せばよいのです。届出があると、その子の戸籍の身分事項欄に、父○○認知届出と記され、父の欄に父の氏名が記入されます。また、その父の戸籍の身分事項欄にも、△△女の子××を父○○が認知した旨が記載されます。これによって父の死亡の場合に、嫡出子何人、非嫡出子何人ということがわかり、共同相続人の数や相続分が明らかとなる便宜がありますが、父の戸籍を正妻や嫡出子が見て、家庭紛争が起こることもあります。
認知届を任意にするのについては、胎児を認知するときは、母の承諾がいりますが、すでに出生した子については、その子が未成年中は、母の同意も、子の同意もいりません。その父が不名誉な罪を犯しているとか、あまり芳しい職業についていないとかで、母子にとって認知されることを望まぬ者であっても、真に父であるかぎりは、父の意思で認知届ができるのです。ただ、子が成年になった後は、その承諾がないと認知は許されません。また、子が死んだ後でも、その子に息子(娘)があるときは、その死んだ子を認知してその子の息子(娘)との間に祖父、孫の関係を生じさせることができますが、孫が成年になっていれば、その承諾がいります。これは、未成年の間、扶養もせず放置しておいて、成年に達し収入を得るようになってから、遂に扶養を受けるために、父や祖父たることを主張しようということを許さぬ趣旨だといわれています。

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任意に認知しない場合には、その子の母や子自身から、家庭裁判所に認知請求の調停を申し立てることができます。調停で父であることについて合意ができれば、調査官が、実の父子であるかどうかを聞き合わせなどして調査し、裁判所が、認知するという審判をします。しかし、調停で、男の方と父子であることについて話合いがつかず、父であることを争いますと、調停は不調になりますから、地方裁判所へ認知の訴えを提起しなければなりません。この場合、審理して真実の血縁があると判断されると、認知の判決が与えられます。
以上、いずれの場合でも、婚姻届をしていない女性と男性との間に生まれた子は、父の認知によってはじめて法律上父子の関係を認められ、父の非嫡出子として、父に対し扶養請求権をもち、父の死亡の場合に父の嫡出子の半分の相続分を取得することになります。
しかし、認知だけでは、前と同じく母の戸籍にとどまり、母の氏を称し母の親権に服しますので、その子が父の氏を称し父の戸籍に入るには、母の氏より父の氏に変更する許可を家庭裁判所でもらう必要があります。また、母と父との協議で父へ親権者を変更することもでき、この協議が調わないときや、行方不明、精神病などで協議できないときは、家庭裁判所が協議に代わる審判をすることもできます。父の氏に変更することは、父の戸籍へ入籍することになりますので、父の正妻や嫡出子が快く思わない場合もあり、氏変更の許可については、これらの者の意向をも考慮することが必要でしょう。
父が認知した非嫡出子の母と婚姻届を出しますと、その非嫡出子は、嫡出子たる身分を取得することになります。これを準正といいます。ですから、子の非嫡出子たる身分を嫡出子たる身分にしてやるには、その母親と一度婚姻届を出せばいいわけで、しばらくして離婚しても、嫡出子たる身分を失いません。けれども、子を嫡出子にするために、ほんとうに婚姻するつもりはないのに形式上だけ婚姻届をした男が、女性の方が約束通り離婚することを承知しないので、仮装の婚姻だから無効だと主張する訴えを出した事件で、最高裁判所はこれを認めました。婚姻が無効になれば子の準正も無効となり、子は非嫡出子の身分を脱けられないことになります。双方が婚姻届をしておきながら、婚姻する意思がなかったからといって無効を主張するのは、あまりにも勝手であり、届出によって婚姻が成立するという制度を無視するもので、この判決の考え方には賛成できません。
その女性との婚姻届を出せない場合、例えば妻があって離婚ができない場合などは、その子を養子とすれば嫡出子たる身分を取得させることができます。しかし妻と共同でないと養子縁組できませんので、妻が反対すればだめです。認知をせずに養子にすることももちろんできます。
父と正妻との間に生まれた子と偽って届出をしたり、他人の嫡出子として偽造の届をして、その戸籍上の父母の代諾で養子縁組したりすると犯罪となり、また後で紛争が起こり、戸籍訂正で真実の身分関係に直されることを覚悟しなければなりません。

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