離婚のときの取り決めが実行されない

離婚の際の取決めといっても、調停で離婚するときに、財産分与や慰謝料、子の親権者、監護者などをどうするかについて取り決めた場合と、協議離婚する前に口約束や契約書を取り交わしてなした取決めとあります。
調停で財産分与や慰謝料を取り決めた場合については、実行しないときは強制執行ができます。また、相手が履行しないことを家庭裁判所へ申し出て、裁判所から履行の勧告や命令を出してもらうことができます。命令に従わない場合には過料に処せられます。実行しやすいように、支払うべき金を家庭裁判所へ毎月寄託させ、これを一方が家庭裁判所へもらいに行くという方決もあります。







調停で離婚する際に、「親権者を父とする。母は後日親権者や子の氏の変更を申し立てない」と約束したり、「財産分与として金何万円を相手方(たとえば夫)は申立人(妻)に支払う。申立人は子花子を引き取って全責任をもって養育し、今後扶養料などなんらの請求をしない」というような取決めをした場合、その条項の効力は問題です。離婚のときに親権者を父と定めたところで、後日、子の利益のため必要があると認められるときは、母は、親権者を母に変更する請求権をもっていますし、父の氏より母の氏に変更の許可を求める権利ももっています。家庭裁判所としては、そのような請求があれば、裁判所の立場において判断して許可するか否かを定めるわけです。
また、扶養の請求権も放棄することはできないものとするのが通説ですから、子どもの養育費金何万円ぽっきりで、これ以上は請求しないと約束しても、それは無効であり、すでに支払いを受けた全額を費消してしまって、子として扶養される必要が生じたときは、請求することができるわけです。したがって、このような無効の約定条項を入れることは無意味だとする考え方もできましょう。しかし、一応こういう条項を入れさせることによって頑固に応じなかった調停がまとまるということもありますので、若干の効用があるわけです。
協議離婚の際に、例えば、金何万円を財産分与、慰謝料として支払う、嫁入道具は全部返還する、というような約束をして離婚の届出をしたのに、相手が約束を実行してくれない場合は、どうでしょうか。
民法では、婚姻中の夫婦がした契約は、婚姻中はいつでも一方から取り消すことができることになっています。これは、夫婦の間でなされる契約は愛情に溺れたり、一方の威圧に届したりして自由な意思で結ばれない可能性かおることと、夫婦の間で契約履行の訴えなどを認めるのはおかしいというような事情を考慮したものと思います。しかし、この規定があるため、夫婦生活が破綻しているときなどに、妻子の生活保障のために夫より妻へ財産の贈与をさせるなどのことが大変むずかしくなるので、実際には、円満な夫婦生活を前提にした場合にのみ、この条文を適用するという判断がとられています。したがって、離婚に接近し、離婚を前提とする取決めは有効とされますが、その取決めが実行されないと、結局、調停を申し立て、その約束か二つの資料として調停を成立させなければ、強制執行ができません。ですから、財産分与などを確保する必要がある場合は、私製証書や誓約書などをもらって軽々しく協議離婚届に押印すべきではなく、一応話がついていても、調停などを申し立ててその通りの調停を成立させ、調書をとれるようにすることが望ましいと思います。調停は、確定判決と同一の効力があって執行力ができてきますし、わずか数百円の印紙で、ときには数万円の国費をかけて、熱心に解決のために努力してくれるのですから、公正証書などを多額の費用をかけて作る必要はないと思います。

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