連帯保証人への請求と時効中断

貸金の主債務者が無資力になったので、連帯保証人に対して貸金請求の訴えを起こし、勝訴の判決をもらいました。直ちに執行しようとしましたところが、今度は連帯保証人が無資力になっていてしまい、経済的不安がなくなった主債務者に請求しましたところ、弁済期から10年以上経過したため借金は時効なったと主張してきました。このような場合はどうなるのでしょうか
民法一四八条は、時効中断は当事者およびその承継人の間においてのみその効力を生ずると規定しています。すなわち、甲に対して時効中断の事由が生じれば、甲についてだけ中断の効力を生じ、他の援用権者乙には効力が及ばないということです。つまり、乙には独自の時効が進行しているとみるわけです。時効の中断は相対的効力しか有しないとされているのです。
ところが、これについては重要な例外があります。たとえば民法四五七条は、主たる債務者に対する履行の請求、その他の時効の中断は保証人に対してもその効力を生ずる旨を定めております。ところで、逆に保証人に対して時効中断の事由が生じたら主たる債務者にその効力を及ぼすでしょうか。債務の承認による時効中断についてこれを否定した判例があり、訴えの提起による時効の中断についても同様に解すべきものと考えられております。

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ところで、連帯保証の場合はどうなるでしょうか。連帯保証も保証に違いないからということになりますと、前述の民法四五七条の適用があります。ところが、一方においては、連帯保証については連帯債務の規定が適用されることを定めております。そうしますと民法四三四条が適用されることになり、主たる債務者に対する履行の請求による時効中断の効力は連帯保証人に及ぶことになります。そこに矛盾があるわけです。
判例は、この揚合は民法四五七条を適用すべきものだといっており、学説もこれを支持しております。
ところで、本問のように逆の場合はどうでしょうか。すなわち、連帯保証人に対して訴えを提起したことによって生じた時効中断の効力は主たる債務者にも及ぶでしょうか。保証の場合と同じように考えてよいでしょうか。
まず、判例をみますと、連帯保証人に対して訴えの提起によって履行の請求をしたときは、主たる債務者に対しても時効中断の効力を生じ、かつ訴訟の係属中は、請求の持続により、主たる債務者との関係においても時効の中断の効力を維持する、としております。つまり、この場合は、連帯債務の民法四三四条を適用しております。これは、普通の保証の場合と違って、特に連帯を重んじた結果によるものです。
判例の立場によると、訴えの提起によって主たる債務についても時効中断の効力を生じましたから、訴えて執行することができることになります。
このような判例の見解に対して反対する学説が多いようです。そもそも民法四三四条それ自体に合理性がないからと主張して、あるいは、連帯保証も保証として従たる債務だからと主張して反対しているのです。
ところで、連帯保証人が債務を承認した場合はどうでしょうか。民法四三四条が、履行の請求とだけしているところから、判例は、この場合には、主たる債務者の時効を中断しないといっております。競売の申立てについても同様に解しております。もっとも、これには反対の見解もあります。

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