破産債権

甲株式会社と乙とが連鎖倒産し、甲については会社更生開始決定し、乙については破産宣告が出されました。当方は甲乙それぞれに対して幾口もの債権をもっており、それぞれの裁判所から債権を届け出よと言ってきました。この場合に、(1)期限未到来の債権、停止条件付債権で条件未成就のものも届け出るべきでしょうか。また、その届出額は債権額どおりでよいのでしょうか。(2)甲が振出人、乙が裏書人になっている約束手形債権は、甲に対する会社更生手続、乙に対する破産手続でそれぞれ全額を届け出てよいのでしょうか。(3)届出を代理人にまかせたいが、弁護士でない人に頻んでよいのでしょうか。(4)届出期間内に届け出なかった場合、どういう不利益を受けるのでしょうか。
破産債権とは、破産者に対して破産宣告前の原因にもとづいて生じた財産上の請求権をいい、破産手続によってのみその弁済を受けることができます。
破産者に対する請求権ですから、債権に限られ、所有物の返還請求権などの物権的請求権は取戻権として、抵当権などの担保物権は別除権として、いずれも破産手続とは別個に行使されます。ただ従業員の給料などの一般の先取特権は、破産法上削除権とせずに、破産債権としています。
債権の発生原因が破産宣告当時にそなわるものであれば、条件未成就の条件付債権でもよく、期限来到来の債権も破産債権となります。そしていずれの場合も、その全額が破産債権となりますので、本問の(1)のうちの乙に対する期限来到来の債権、および条件来成就の停止条件付債権もすべて、その債権額どおりに届け出てください。
しかし、期限未到来の債権を、すでに到来ずみの債権とまったく同じに扱うことは、不公平ですので、利息付債権であれば宣告後の利息を、無利息債権、例えば手形債権であればその法定利率による中間利息を、後述の劣後的破産債権としています。
破産法は、同じ破産債権でも序列を設け、普通の破産債権をはさんで、優先的なもの、および劣後的なものとの区別をしています。これは配当の際の順序となるほか、劣後的債権は債権者集会の際に議決権がありません。
優先的破産債権は、給料、退職金などの一般の先取特権などに認められます。
劣後的破産債権は破産法四六条に掲げる七種の請求権です。破産宣告後の利息、破産宣告後の不履行による損害賠償および違約金、破産手続参加の費用、期限付無利息債権の期限までの中間利息などです。

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更生債権とは、更生手続開始決定前の原因にもとづいて生じた財産上の請求権をいい、更生手続によってのみ弁済を受けることができます。更生債権は破産手続における破産債権とだいたい同一の債権と考えてよいでしょう。
債権の発生原因が、手続開始決定前であれば、条性来成就の条件付債権でもよく、期限来到来の債権も含まれます。
更生債権にも、優先的のものと劣後的のものとが、普通の更生債権を間にはさんであり、その内容は、だいたい破産債権の場合と似ています。
本問の(1)のうち甲株式会社に対する期限未到来の債権も、条件未成就の停止条件付債権も、会社更生法一一四条、一一八条の問題がありますが、実務は一応全額を届け出させています。
また本問の(2)のように、甲乙が、各自額面全額の責任を合同して負担する場合、手 形所持人は、乙に対する破産手続で、破産債権として、額面全額を届け出て差し支えありません。甲に対する更生手続でも、全額について届け出ることができます。ついでに、手形に裏書をして、現在その手形が手許にないような場合、手形を買い戻してきて遡求権者として届け出ることはもちろん可能ですが、将来行使することあるべき求償権者として届け出ることもできます。しかし、現在の手形所待人が届け出た場合には二重請求となりますから許されません。
破産債権も、更生債権も、裁判所の定めた期間内に届け出なければなりません。
破産債権の届出は破産手続への参加を意味し、以後破産債権者として、債権者集会での議決その他破産法の認めた権限を行使 でき、配当にあずかることができます。届出をしなければ、破産手続から一切排除され、配当を受けることもできません。破産の申立てをした債権者も他の債権者と同様 に、届出をしなければなりません。
更生債権の届出も会社更生手続への参加を意味し、関係人としての権限を行使できるようになるわけですが、届出をしなけれ ば、関係人集会において議決権が行使できないばかりでなく、更生計画による弁済を受ける権利も喪失します。
届出期間は、両手続とも、破産宣告、更生手続開始決定の日から二週間以上四ヵ月以内の間で、裁判所が決定して通知します。
破産の場合の届出期間は催告の意味を有するもので、期間経過後の届出も許されます。しかし届出がおくれると、債権調査のために特別期日を関かねばならなくなり、裁判所は期日を定める決定を官報に公告するほか、全届出債権者に期日を知らせなければなりませんが、その費用は全部負担させられます。届出は、おそくとも最終配当に際し、裁判所が定める除斥期間内にして、債権額の確定をしておかないと、最終的に配当から除外されてしまいます。
会社更生の場合の届出は、破産と違い、期間内にしなければ失権しますので注意が必要です。ただし、債権者の責めに帰すことができない理由で期間内に届け出られなかったときは、その事由のやんだときから一カ月以内に届け出ることが例外的に認められます。
破産宣告、更生手続開始決定が出されると、裁判所は、分かっている範囲の債権者には、管財人の氏名、債権届出期間などを通知するとともに、債権届出用紙を送ってくれます。用紙には、記載の方法、届出にあたっ ての注意事項が記載されていますので、よく読んでください。
届出書は、二通作成します。そして、これは裁判所へ提出するものであって、管財人への提出は効力がありませんから注意してください。郵送でも差し支えありません。
法人の場合、代表者の資格証明書一通を添付してください。
本問の(3)の代理人による届出もできます。その代理人は、弁護士にかぎらず会社の担当者、出張所長、支店長などでも結構です。代理人による場合、委任状の添付を要することはもちろんです。

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