倒産と整理

倒産した会社から債権を取り立てまたは保全する方法には、様々な手続がありますが、大別しますと二つの方法に分けられます。その一つは、裁判所の手をかりて債権回収をはかる方法で、破産、和議、会社整理、更生の手続です。その二は、裁判所の手をかりないで債権回収をはかる方法で、内整理といっています。
このうち、再建の見込みのない会社から手っとり早く債権回収をはかるためには、破産手続がもっとも適していると思われますが、手続に金がかかる割合にせいぜい債権額の一割ないし二割程度しか回収できないのが実情で、しかもその配当を受けるまでに相当の日時がかかりますから、債権回収の手段としては必ずしも適当な方法とはいえません。ただ破産宣告の申立てをすると、債務者の隠し財産をはき出させることができますし、債務者をけん制して話合いを有利に進めることができるという利点はあります。これに対し他の手続は、将来再建の見込みのありそうな企業について、その事業を継続させながらその間に少しずつ債権の回収をほかっていこうという制度です。いずれも裁判所の厳重な監督の下で、利害関係人の利害の調整がはかられていますが、会社更生手続は裁判所の関与がもっとも強く、株式会社についてのみ適用される点に特色があります。企業維持の精神から、一方において破産の申立てがあっても他方で和議の申立てまたは和議開始の決定 があったとき、会社整理の開始の申立てや開始命令がなされたとき、会社更生手続開始の申立または命令があったときには、それぞれ後者の手続に移行しなければなりません。
以上の手続に対し、内整理はあくまで当事者の自主的な話合いのうえに立って、会社を再建するか、解体するかの意見を調整したうえで清算するという方法です。それだけに利害関係人が比較的少なく、話合いの場がもてるような状況にあるときに適合した方法といえます。

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内整理には、別に法律で定められた手続といったものはありません。債務者、債権者などの利害関係人がお互いに話し合って方針をきめ、それにもとづいて手続をすすめればよいのです。したがって、債務者から内整理の相談をうけたときには、債権者は他の大ロ債権者や場合によっては弁護士とも相談し、倒産の原因、債務者の資産状態、事業の収益率その他今後の見通しなど検討して、内整理でのぞむのがよいか悪いかをはっきりさせたうえで返事をすることが肝心です。そして、債権者が内整理に賛成するときはできるだけ早い時期に債権者会議を開く必要があります。万一この会議の開催がおくれますと、その間に債権者が個別的に動いてて混乱を生じるおそれがあるからです。
内整理に不賛成の場合には、債務者と談合のうえ十分な担保をとるなり、債務者の財産を仮差押えするなりして、債権回収の手だてをしておくことが大切です。
第一回の債権者会議は倒産の原因、資産や債務の状況、今後の事業計画の見通しなどの報告をうけ、内整理の方針を確定し、債権者団を代表し、整理の実施にあたる債権者委員などの選任が主な目的となりましょうが、とかく議事が混乱におちいる可能性が強いと思われますので、手際よく運営する配慮が大切です。
なお、内整理に反対の債権者も、倒産の実態を知り今後の対策を立てるためにも、また不正倒産の疑いがある場合のなれあい整理を防止するためにも、第一回の債権者会議には出席するのがよいでしょう。しかし、特に十分な担保をもっている場合はその必要はありません。
整理案の作成、必要な場合における財産の仮差押え、各債権者の債権額の調査、確認、整理の実行など、いずれも債権者委員によって構成される債権者委員会の手によって行なわれよすが、整理案および分配の割合や方法は債権者集会に報告、承認をうけておくことが必要です。また整理案が確定したときは、債権者委員会と債務者との間でこれを契約書としておきます。
債務者の資産を処分するにあたっては、債権者にとってもっとも有利な方法ですればよいわけですが、不公平な処分が行なわれないよう処分方法について十分検討し、相互に了解しておく必要があります。
資産を換価して得た売得金は、一応委員 長名義で保管され、適当な額に達したときに配当されます。
債務者を再建させようという場合は、その営業の継続を認めるか、第二会社を設立して、その営業収益から債権の回収をはかることになりますが、その実行は債権者委員会の決定方針にしたがって行なわれます。この場合、経理に債権者委員が関与するなどして債務者の営業状態、特に収支決算を明確にとらえる手だてを講じることが大切です。
なお、整理にあたって注意しなければならない点として、従業員の給与には先取特権が認められていること倒産によって従業員を解雇する場合には給料の一ヶ月分を手当金として支払わなければならないこと、退職金について従業員に優先弁済権があることが、あげられます。

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