債権差押えの効力の範囲

私の債務者はAに100万円貸していることがわかりましたので、これだけを差し押えしたところ、貸してから年月が経っているので利息がかなりの額になっていることがわかりました。この場合利息だけをまた別に差し押えておかなければならないでしょうか。
債権の差押えの効力は、特に債権者が限度額を明示しないかぎり、執行債権の額にかかわらず差し押えられた債権の全部に及びます。ですから100万円の債務名義で1000万円の債権を差し押えることもできるわけですが、これはあくまでも一個の債権についていえることです。問題の利息債権は本来元本債権とは別個の債権です。しかし判例によりますと差押えの時以後に発生する利息については別に差し押えなくても元本の差押えの効力が当然及ぶとされています。差押え以前すでに発生している分には及ばないので、本問での溜っている利息は改めて別に差し押える必要があります。利息の支払期が毎月末となっているような場合に月半ばで差押えをしたときは日割計算で差押えの効力の及ぶ部分を決めるべきです。給料のように定期的に発生する債権の差押えについては、法律は執行債権額を限度として差押え後に収入すべき金額にも及ぶと規定していますから、一度差押命令を得ておけばそのまま安心していられます。給料の差押えについて知らなければならないことは、「官吏、 神職、僧侶及び公立私立の教育場教師の職務上の収入」「職工、労役者又は雇人が共労力又は役務の為に受くる報酬」は特別の事情のないかぎり四分の一までしか差し押えられないということです。条文の表現は非常に古風ですが、要するにサラリーマンの給料はこの差押制限にかかると考えてよいのです。差押禁止債権としては、このほか、様々な法律で多くのものが規定されています。差押えが許されない四分の一とは、給料の額面額の四分の一なのか、あるいは源泉徴収税や社会保険料を差し引いた現金手取額の四分の一なのか、という問題があります。考え方としては、このほか、額面額の四分の一からこれらを差し引いた残りだけが差押えの対象となるというのもあります。詳論はできませんが、いずれの考え方にも根拠があって裁判所の取扱いも一定していない模様です。
ボーナスが給料と同様に扱えるかどうかは、ボーナスと一口に言ってもいろいろなものがあるところから一律に決めることはできません。公務員の場合のように、必ず支払われることが法律できまっているようなものは、給料の一種とみて、特に差し押えなくても給料の差押えの効力が及ぶ と考えられ、裁判所の取扱いもそのようになっているようですが、不定期で、しかも額が会社や債務者個人の業績によって大いに左右される管理職のボーナスは、給料という性格が薄れてくるため、給料の差押えの効力は及ばないと考えられます。しかしこれは非常に微妙な問題で、個々の具体的な場合によって変わってくるでしょう。そこで裁判所によっては会社員のボーナスは一律に給料とはみないという扱いをするところもあります。そうなるとボーナスは別個にそのつど差し押えねばなりません。年末のように必ず出ることがわかっている場合は将来の債権とはいえ発生が確実ですから差し押えられますが不定期という場合には若干問題があります。出ることが確実であれば適当な時期をみて差し押えることが可能であると思われます。額はまだ不明ですから差押命令申請にあたって表示する必要はないと解されます。

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