督促手続

強制執行をするには、債務名義を必要としますが、債務者が、債務の存在を争わないが、しかし返済をする気もない場合、わざわざ訴訟を提起して判決をもらっていると、時間も費用もかかるので、債権者に簡易、迅速に債務名義を得させる方法として、督促手続つまり支払命令申立手続があります。
この手続は、金銭その他の代替物または有価証券の一定数量の給付を目的とする請求、公正証書で強制執行のできる請求と同一であること、債務者に対し公示送速によらないで送達できる場合にかぎられます。
支払命令の申立ては、書式にならった書面を、債務者の住所地または事務所、営業所所在地の簡易裁判所へ提出します。請求の価額いかんにかかわりませんし、数個の請求につき、または数人の債務者に対する請求を、併合してできます。法律上は、口頭による申立ても可能ですが、書面の方が間違いもなく、早く受理されて結局得です。

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支払命令には手続費用額を付記するので、債権者は申立にその額を記載して請求します。請求できる額は、申立書の貼用印紙額、当事者双方への正本の送達費用、書類作成料、申立言提出のための旅費、日当、郵送料などです。
裁判所によっては、支払命令の原本および当事者へ交付する正本作成に利用する便宜から、あらかじめ当事者の表示、請求の趣旨、原因の写しを提出させるところもあります。
手形金または小切手金の支払命令申立ては、簡易裁判所のほか、手形または小切手の支払地の簡易裁判所にも管轄があります。この申立書には、手形訴訟または小切手訴訟による審理および裁判を求める旨を、記載しておく必要があります。この記載がなければ、債務者が支払命令に対し異議を申し立てて訴訟へ移行した揚合、手形訴訟または小切手訴訟として取り扱われないという不利益をうけるからです。
申立てが前述の要件に適合していれば裁判所は、債務者に対し申立ての金額を支払うべきこと、万一債務者が支払命令送達の日より二週間以内に異議申立てをしないと、債権者の申立てにより仮執行宣言を付することを定めた支払命令を発し、当事者双方へ送達します。申立てが前述の要件に適合していなければ、裁判 所は、申立てを却下します。この却下決定には、不服申立ては許されませんが、裁判所受付でその理由を質し、要件に適合するように改めて、再度申し立てればよいわけです。
債権者は、債務者に対する支払命令送達後二週間を経てのち三〇日以内つまり四四日以内に、支払命令に仮執行の宣言を付することを求める二五二頁所掲の様式の申立書を、支払命令を発した裁判所へ提出しなければなりません。この期間内に申立てをしないで放置すると、支払命令自体効力を失います。この申立書には、正本送達用に郵便切手を当事者の員数だけ添付します。申立てが適法であり、かつ債務者の異議申立てがなければ、裁判所は、支払命令に仮執行の宣言を付して、当事者双方へ送達します。これを仮執行宣言付支払命令といいます。この命令は、執行力を有し、これにもとづいて強制執行ができ、その執行には、原則として執行文を必要としません。そして、債務者に対する命令送達後二週間以内に、債務者が異議を申し立てないと、支払命令は確定し、確定判決と同一の効力を有するに至ります。
支払命令は、事前の債務者の審議なしに発せられますので、債務者は、支払命令に対し、異議を申し立てることができます。異議は、支払命令を発した簡易裁判所へ申し立てればよく、その理由を格別に開示する必要はありません。書面での異議申立は所定の様式で、郵便切手を債権者の員数に加えた数だけ 添付します。
適法な異議申立てがあれば、督促手続は通常の訴訟手続へ移行します。裁判所は、請求が簡易裁判所の管轄に属せば、そのまま訴訟として審理するため口頭弁論期日を指定し、請求が地方裁判所の管轄に属せば、訴訟記録を上級の地方裁判所へ送付します。そして債権者へは、支払命令申立書に貼用した印紙と同額の印紙の増貼命令と、請求の趣旨と原因を記載した準備書面の提出命令とが見せられ、通常訴訟の形態をととのえることとなります。
この債務者の異議は、仮執行宣言前に申立られれば、異議の範囲内で支払命令の効力が失われるのでよいのですが、仮執行宣言後であれば、支払命令は確定を妨げられても、その執行力は停止されませんので、これによる強制執行を免れるためには執行停止の申立手続をしなければなりません。

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