仮差押と仮処分

 仮差押えとか仮処分とかは借主から貸した金額を取りたてるためにその人がもっている財産を差押えておくことですが、こうした手段をとっておくことによって、借主は自分勝手に財産を処分したり、また名義変更をしたりすることができなくなるようになる方法です。
 この方法は、主として訴訟をおこし、適当な判決をもらうまでの暫定措置としてとられるものです。

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 どんなものが仮差押えできるかというと、つぎのようなものです。ただし無制限にゆるされるというものではありません。
 売掛け代金や金銭債権の収りたてを安全にするため。
 差押えは、すべて物的なものにかぎられる。
 仮差押えはどんな場合にできるかというと、これにも制限があります。
 仮差押えの請求権といえば、まず金銭に関する債権か、それに代え得るものということになるのですが、金銭債権の場合では租税債権は仮差押えできません。
 請求権のあるものならば期限のきていないものでも仮差押えすることができますが、保全する価値のないものについてはゆるされません。
 仮差押えをするときは、そうすべき正当な理由がなければならないことになっています。
 その正当な理由とは、債権の担保となっている債務者の財産がこわれていたり、かくされていたり、または放棄されたりしている場合、またその財産が量的にも質的にも価値がうしなわれるおそれのある場合。
 借主が外国へ行くことになって、判決を外国でしなければならないとき。
 こうした理由が十分にある場合でも、その債権について十分な物的担保、たとえば質権とか抵当権、または譲渡担保などをあらかじめとりつけているときは仮差押えを申したてても棄却になります。
 仮差押えの手続きはどうかというと、その目的物のある地域を管轄する地方裁判所または本案の管轄裁判所へ申請することになっています。
 申したてる場合の申請書には、つぎの事項を記入しなければなりません。
 申請そのものは口頭でも書面でもかまいませんが、申請書には保全しなければならない請求権、その金額またはその価格、仮差押えをする必要のある理由をハッキリと書くこと。
 目的財産の所在地を監督する地方裁判所に申請するときは、差押えの対象としている財産の少なくとも一つを明記し、その所在地を表示すること。
 その他のときは必らずしも目的財産を表示しなくてもよいことになっています。
 民訴第七四〇条二項は「請求および仮差押えの理由はこれを疎明すべし」と規定していますが、なぜこうした措置をとるのかという理由と実情を明記すること。
 仮差押えの申したては、これを委任によってもすることができるようになっていますが、しかし委任をうける人は弁護士の資格をもっている人でなければならない。
 そのほか申請書には、債権があることを証明する書類を添えて提出しなければならない。
 たとえば売掛代金の場合は債権証書であるが、これがないときは帳簿や債権の催促をしたことを証明する催促状でもよいのです。仮差押えをしなければならない理由を証明する書類も提出しなけれげなりませんが、たとえば第三者の調査報告書などです。
 仮差押え、仮処分にあたっては保証金を供託しなければならないことになっています。
 仮差押えに異議のあるときは、借主はどうするか。これは貸主としても知っておかなければならないでしょう。
 債務者(借主)は、仮差押えの決定にたいして異議のあるときは、その旨を裁判所に申したてることができるようになっています。
 異議の申したては、仮差押えの決定をくだした裁判所にする。異議の申したては書面でも口頭でもかまわないが、いずれの場合も異議の理由をハッキリさせる必要がある。異議申したてには、一定の期間というものはなく、いつでも、たとえば仮差押えのおこなわれた後でも異議の申したてができる。債務者(借主)からの異議の申したてがあったときは、裁判所は口頭弁論のために当事者を呼びだして、仮差押えの当否をあらためて審理することになる。なお、裁判に不服のときは、控訴または上告することもできるのです。

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