和解について

 裁判所は、事件の進行中であっても、その事件が当事者双方の和解によって解決できると判断したときは、当事者双方に和解をすすめます。つまり勧告することがあります。
 この和解には裁判による場合と、それ以外の場合の二つがありますが、いずれにしてもそのねらいは当事者がゆずり合ってトラブルを円満に解決するところにあるのです。また、裁判による和解にも二つの場合があります。
 それは裁判の途中でおこなわれる和解と、事件の訴えを裁判までもち込む以前の、簡易裁判所でおこなう和解であり、前者は和解によって進行中の裁判をおわらせることができ、後者は裁判以前に当事者が和解することによって事件の解決をはかろうとするものです。

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 裁判上における和解は、訴訟のうえでもその効果が保障されており、和解による記載調書は、裁判においての確定判決とおなじ効果があるのです。
 和解は強制的ともいわれる裁判にくらべて事件の解決も早く、なごやかな雰囲気のうちにおこなわれるものであるから、事件の解決にあたって好もしい方法といえるのです。
 和解は原告(訴えた人)と被告(訴えられた人)が法廷で争うことをやめ、おたがいにゆずり合うことによって事件の解決をはかるものであることはいうまでもありませんが、そのためにはつぎのようなことが守られなければなりません。
 裁判における和解は、事件をとり扱っている裁判所の、それを担当している判事の立ち合いのもとですること。
 和解のための内容は、その事件の解決に役立つ内容であること。つまりたんに訴訟をとりやめようなどというだけでは和解の内容としては不十分です。和解の内容は、双方がそれぞれの立場をともに譲り合うものであること。たとえばどちらかの一方が相手のいい分にたいして全面的にしたがう、というのでは和解になりません。
 和解は双方の話し合いでまとまることを成立の要件とするのであるから、双方のあいだの話にくいちがいがないこと。
 以上の要件が守られなければ、裁判上の効果はないことになります。
 さて、つぎに和解による解決は裁判における確定判決とおなじ効力があることは前にのべたとおりですが、それだけにこの和解調書に執行文をつけることによって強制執行をすることもできるのです。ただし、そのためには、当事者である原告と被告は、和解能力をもっていなければならないこと。もし代理人をたてて和解するときは、その代理人は正式の代理権をもった人でなければならないし、代理人が委任されて和解するためには代理人はその委任状をもっていなければならないこと。
 和解の内容は、社会の公序良俗に反するものであったり、法規にふれるようなものであってはならないこと。これらの要件が欠けていてはならないのです。
 和解は、法廷での口頭弁論日、または事件訴訟の準備手続きの日、あるいは和解を勧告されたとき、あるいはまた和解のこころみがなされたときに、当事者である原告と被告が口頭で判事にその旨を申したてればよい。
 和解するにあたっては当事者が下相談したり、また裁判所以外の第三者が仲介の労をとってもかまいませんが、いずれにしても裁判所へ申したてるときは双方の話が一致していなければなりません。
 和解は、裁判の進行に関係なく、これをすることができます。したがって判決直前でもできるわけです。
 和解が成立したらこれを調書に記載しなければなりません。また口頭弁論によって成立したときも口頭弁論調書に記載しなければならないことになっています。
 調書は裁判所でつくられますが、調書がつくられる、調書ができたということは、和解が成立したことを意味するのです。和解が成立すると、もはや判決のいい渡しはない。また和解の成立したあとで期日の申したて、その他の訴えをおこしてもそれは却下されます。
 和解調書に書きこまれたうえでの法的な訴えはゆるされません。その理由は和解調書はそれが完成すると確定判決とおなじ効力をもつからです。ただし、調書に書かれていることが金額または物の具体的な引渡しに関する場合、当事者である原告と被告の一方がもし相手がその約束をはたしてくれないときには、これを債務名義として強制執行をすることができますが、このときは公正証書と同じようにあらためて強制執行認諾約款などといったものは必要としないのです。
 和解が成立してその調書ができ上ったとき、その和解は誤っていたとか、重大な過失があったということなどで、それをとり消すことができるかどうかというと、とり消すことができるという説と、とり消すことができないという説の二つがありますが、つぎのような場合は、和解の無効を主張できるのです。
 無効になればとり消しと同じ効果があがることはいうまでもありません。
 和解に参加した代理人が、適法な権限に欠けていたとみなされるとき。刑事上罰せられる他人の行為によって和解をしたとき。
 請求の放棄とは、原告が自分の訴えのまちがいをみとめることであり、請求の認諾とは、被告の請求申したてを正当な理由あるものとしてみとめることですが、裁判所は、原告の敗訴、被告の勝訴の判決をいい渡すことをはぶいて、請求の放棄または請求の認諾を記載することによって判決にかえるものとしています。この場合も調書に記載されたことは、もはや判決とおなじ法律上の効力をもっているからです。
 即決和解とは、どんなことかというと、まだ事件を正式に裁判所へ起訴するまえに双方が和解することです。いうならば裁判以前におこなわれる当事者のあいだの和解なのです。
 この即決和解は、当事者双方が裁判所へ出向いて和解のための申したてとその陳述をすることによって、即座に和解が成立することから、こうよばれているもので、即時和解ともいいます。即決和解の最大の利点は、なんといっても事件の解決が簡単であること、経費がほとんどかからないこと、しかもそのうえ債務名義を取得できるなどの諸点です。
 和解の場所はどこかというと、相手方の所在地の簡易裁判所であり、そこへ申したてることになっています。申したては書面でも口頭でもかまわない。申したてには、事件の原因と和解するための条件をハッキリと示す必要がある。申したて書には一定の印紙を貼ることになっています。
 申したてを受理した裁判所は、和解する期日をきめて申したて人とその相手方を呼び出しますが、このとき、当事者はいっしよに出頭して訴状についての口頭弁論をすることになるわけです。その結果和解が成立すれば、裁判所はそのことを調書に記載し、これで和解はおわることになります。
 和解が不成立におわったときはどうするかというと、当事者のどちらか一方が事件を訴訟に移すことができるのです。
 この申したてがなされると、裁判所ではただちに訴訟としての口頭弁論を命ずることになるのはいうまでもありません。
 なお、訴訟の場合は、印紙代はその費用の一部とみられるから残額をあとから追加することになり、訴訟の金額によって裁判所もちがってくることになります。
 裁判における判決は、裁判所の最後の判断ですが、この判決は、判決書がつくられて、その内容を原告と被告にいい渡すことによって効力を生ずることになります。
 判決の主文は、裁判長がこれを朗読することになっている。裁判所は、一度くだした判決を勝手に修正したり、あるいは変更したりすることはできない。判決に不服である場合は当事者のどちらかが二週間以内に控訴しないと、その判決は確定したことになる。一度判決が確定すると、当事者はその事件についてふたたび裁判所に訴え出ることはできないし、裁判所も、これをゆるすことはできない。被告にたいして支払いを命ずる旨の判決が確定したときは、執行力がうまれるが、この執行力は、判決できまったことを、国家が強制的に実現させることのできる効力です。執行力がうまれると、仮執行の宣言をつけた判決は、確定前にすでに執行力をもっていることになります。
 第一審の判決に当事者のいずれか一方が不服であるときは、ただちに控訴の手続きをとって対抗するのですが、どこへ控訴の手続きをするかというと判決のあった第一審裁判所が簡易裁判所であったときは地方裁判所へ、第一審裁判所が地方裁判所であったときは高等裁判所へと、控訴の手続きをとるのです。申したては、判決の不服にたいしてするものであるから、その申したてをうけた裁判所ではもとの判決を訂正すべきところがあるかどうかを判断したうえで再審判をすることになります。控訴は、判決が送達されてから二週間以内にしなければならないが、はじめの日は日数のなかにはいらないとされています。

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