貸金の回収はどのようにしたらよいのか

 Kさんは友人に五万円貸して、それから一年余になりますが、友人は返してくれません。友人のことだから、返せとはいいにくいが、Kさんもそれがいることになり、返してもらいたいのですが、実は返済期限をきめていませんでした。こうした場合どうしたらいいのでしょうか。
 金銭を貸借する場合は、金額、利息、返済期日などをきめておくのが常識でもあり、原則でもありますが、そうはできないこともあるでしょう。
 しかし今はKさんもそれが必要となったのだから、考えなければなりません。そこで、その対策としては、まず貸した友人と話し合うことです。そして円満な解決点を見出します。
 次に催促してみることです。「当事者が返済についての時期を定めていないときは、貸主は相当の期間を定めて返済の催告をすることを得」と規定されているから、これによって催告、すなわちさいそくするのです。
 相当の期間というのはどれくらいな期間かというと、だいたい五日から二十日ぐらいとされていますが、このあいだに借主に返済の準備をさせることになるわけです。
 この場合、催促したこと、つまり催告したことを証明するために、内容証明郵便でやること。そうしておけば裁判のときにそれが一つの証拠となるのです。
 このようにしても相手が返してくれないときは、最後の手段として、裁判所に事件の解決を依頼することになりますが、それはあくまでも最後の手段であって、なるべくならば友人でもあるのだから示談で解決することがよいことはいうまでもありません。以上のようなケースは大いにあることで、友人間の金銭の貸借は好ましくないものです。それをしたばかりに仲たがいになるとは昔から人生の真理とされています。

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 ところで、一般的にいって、貸金の回収法はどうしたらいいのでしょうか。返済期日をきめる、きめないにかかわらず、次のことを知っておくべきです。
 金額のいかんにかかわらず、法的手段をとる前にすることと、裁判による、つまり法的手段によることとの二つがありますが、ここでは前者の場合を見てみましょう。
 法的手段をとる前に、お金を貸している人、つまり貸主は、返済の約束の期限がきているときは、その返済を借主に請求します。これを怠ってはならないのです。
 法律的にも、怠っている者を保護してはくれません。つまり、貸金の返済の期限が来た、それを催促するというのが法律の建て前で、催促しないでほっておいて、それで貸金が回収されなかった、と嘆いたところで、法律は権利の上に眠っている権利があるのに、それを行使しないものとして、相手にしてはくれないのです。
 借主の責任はいまでもないことですが、貸主は借主の責任について知っておくことです。どんな責任があるかというと、

 (1) 借主は返済についての確定期限があるときは、その期限までに返済しない場合は、遅延損害金を支払わなければならない。
 (2) 返済の確定期限がハッキリきめてない場合は、借主は期限が来たことを知ってから遅延損害金を支払わなければならない。
 (3) 返済の確定期限がぜんぜんきめてなかった場合は、借主は返済の請求をうけたときから遅延損害金を支払わなければならない。

 これは民法第四一二条の規定ですが、(1)の場合は別として、(2)と(3)の場合は貸主は借主にたいして返してもらう期限がきたのだから、返済してくれという請求をすることによって貸金を回収する手段をとることです。
 借主は返すことについての期限がハッキリしている場合をのぞいては、自分から積極的に動く必要はなく、貸主が期限がきたので返してくれというのを待っていればいいわけですが、そうであるだけ貸主は借主にたいして、請求または催告する必要があります。
 これを逆にいえば、借主は貸主から期限の通知と請求、催告などがおこなわれないかぎり、元金はもとより遅延損害金、その他の損害を賠償する責任もないことになるのです。
 借主がどうしても貸した金を返してくれないときは、裁判によってそれを回収する以外に方法はありませんが、これは最後の手段であるから、はじめは期限がきれたときから、返してくれと催促することです。それでも返してくれないときは、借主の保証人に催促します。
 催促(催告)の方法は口頭または書面のどちらでもよいのですが、時効が完成して、債権つまり貸金が時効にかかってしまうとき、あるいは時効を中断させるときには、書面(手紙)は内容証明郵便にすることです。
 この内容証明郵便によって催告しておくと、何月何日何時に相手方に配達されたという、ハッキリした証拠力になるからです。
 口頭で催告するときは、二人くらいの代理人をたて、その人たちを借主のところへ催告にいかせます。こうした人たちが代理でいった場合、借主が何月何日まで待ってくれたら返すということをいったとすれば、借主は返済をみとめたことになるから、代理人二人は証人となり、したがって貸主は時効を中断させることができるのです。
 ところで、催告によって時効が中断されるというものではありません。つぎの手続きをとらないかぎり、時効の中断は六ヵ月で無効となってしまうのです。
 つまり六ヵ月以内に実訴するか、和解、調停の申したてをするか、または差押え、仮差押え、仮処分の申請をしてはじめて時効中断はその効力を発生することになるといったわけです。

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