時効が迫っている亡父の貸金がわかった場合

 Aさんの父が死亡し、当然のことAさんは相続人になったのですが、父の死後ある人に貸した百万円の借用証言を発見したのです。そこでその相手方に対して、貸金の返済を請求しようと思うのですが、日付を見ると、もうすぐ十年の時効に迫られています。そこで、とりあえず時効の中断から手をつけなければならないのですが、どうしたらよいのでしょうか。

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 一般に時効の完成を中断させるには、借主にその金を借りている人間であることをあらためて認めさせることですが、相手方がそれをみとめようとしないとすればどうなるりでしょうか。このときは契約書または借用証書にもとづいてその相手方に口頭または書面で請求することです。
 書面で請求するときは内容証明郵便ですること。そして内容証明の時効である六ヵ月以内に訴訟をおこすとか、仮差押えをしておくことによって時効の完成を中断させることができることになります。
 このようにして時効が中断されると、それから更に十年間にわたって時効は延長されることにな るのです。
 Aさんの場合も早速こうした催促を相手方にすることによっていったん時効を延長させ、それから話し合いにより、あるいは裁判所の力をかりて百万円の貸金について適当な解決をはかることです。そのさい一時払いができないとすれば、相手方の立場を考慮したうえで分割払いの方法をとらせるのも解決の一方法でしょう。
 相手方はAさんの父の死を口実として債務のもみ消しをたくらんでくるかもわかりませんが、債権は相続人であるAさんに相続されたわけであるから、当然の請求権があります。それを行使することです。
 金銭の貸借は十年で時効となります。貸金の債権が商売のうえでの取引きによる場合は、五年で時効となります。手形金の請求権は三年、おろし商などの売掛代金の債権は二年、運送費や料理店の売掛金などは一年。小切手は六ヵ月。要するにいずれの場合もその時効が完成すると、その債権は消滅し、貸借についての証書をもっていたとしても、一片の紙くずにしかすぎないのです。
 時効の期限の計算はいつからかというと、いつまでに返すということのきめてある場合は、その支払い期限の翌日から起算することになります。返済期限が一年以内のものでも、一年以内の返済期限をきめたものであるかぎり、時効は五年となります。
 返済期限がハッキリときめてないときの時効期限はいつから計算するかというとお金を貸した日から相当の日数がすぎた日から起算することになっています。
 貸主から返してくれとの請求があ、一ヵ月ニカ月後に返すというように一定の日数がすぎてしまって返すことになっているときは、その約束の期限をすぎたときから時効期限を起算します。
 返済を分割によってすることをきめてあるときは、その特約をやぶって分割払いが実行されない場合は残りの全部を請求できることになった日から時効期限を起算します。
 利息の時効は、利息は元金とは独立したものであるから、利息の支払いがある期限になって利息が支払われなかったときは、その期限から起算して五年で時効となります。
 また利息の支払いについて一定の期限がきめてない場合、また利息の支払いは元本と同時になどのきめ方のしてある場合は、支払期限がすぎてから十年で時効となります。
 遅延損害金の場合は、これは金銭支払いのおくれたことにたいする損害金であって利息ではないのだから支払い期限もハッキリきめてないものですが、これも遅延利息を支払うことになった日から起算して十年で時効となります。
 確定判決によって確定した債権は、たとえ十年以下の時効期限がきまっているものでも、時効期間は十年ということになっています。また裁判によっての和解や、調停その他の確定判決とおなじ効力をもっている債権の場合も十年で時効となります。ただし、確定当時にまで返済期限のきていない債権についてはこのかぎりではありません。
 定められた時効期限がすぎると、借主は借りていた元利金を返さなくてもよいのです。ただし、時効によって返さなくてもよいことになったことの意思表示をしないと、その効力は生じません。
 なお、当事者(借主)だけでなく、連帯債務者、連帯保証人、保証人といった人たちも時効についての利益を受けることができるのです。
 時効期間は、返済期日がきれたときから起算されるわけであるから、貸主は、時効がすすまないよう、それをストップさせる手段をとることがたいせつですが、これを時効の中断といいます。
 時効が中断したらどうなるかというと、たとえば、十年目に時効が完成する債権があったとすると、それが一年前の九年目に中断すれば、それまですぎてきた九年間は無効になり、それ以後は十年たたないと時効は完成しないことになりうります。したがって貸主は、時効を中断する手段をとるべきです。
 中断するにはどんな方法があるかというと、請求すること。差押え、仮差押え、または仮処分をすること。承認をすること。この三つがあるわけです。

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