貸付先の法人の消滅

更生会社とは、窮境にあるが再建の見込のある株式会社について認められた制度であるために、そのような会社には金を貸さない方が安全であることはいうまでもありませんが、取引の都合では、たとえそのような会社であっても貸出をしなければならないこともあります。そのような場合であっても、通常の貸出の場合と同様、その資金使途の確認、会社の現況の把握、回収見込の確認、担保の徴求等に努めるべきであることは当然です。
更生会社は、その開始決定により、会社財産の管理、処分権は一切管財人に移るために、それからは貸出は管財人を相手にしなければならないのは当然です。しかし、それは会社の更生手続の進行状況により変ってくるので、その貸出の時の状態を確認して、誰が管理処分権を持つか確認して取引する必要があります。

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申立前は別に代表権に変動が生じていないために、その時の代表取締役を相手にして行なえばよい。
申立後、更生手続の申立があっても、会社の行為能力に影響を生じるものでないために、そのまま代表取締役と取引すればよいのですが、それは次の保全命令があるど、開始決定前でも管理、処分権を持つものが変わることがあるために注意を要します。
開始決定前、更生手続の開始前の保全命令には旧債弁済借入等の禁止のほか、保全管理人、監督員の選任という命令の出ることがあります。取引の相手方としては弁済借入等の禁止や監督員の選任があっても別に代表権には影響を生じませんが、保全管理人の選任があると、管理処分権はその管理人に移るので、その後の貸出はその者を相手にしないと無効になります。それは裁判所の命令により確認するか、商業登記により確認します。
更生手続の開始決定があると、会社の管理処分権は一切管財人に移るため、開始決定前に保全管理人の選任があったか否かに関係なく、以後はこの管財人を取引の相手方にしないと無効です。
更生計画が裁判所において認可されると、その計画において以後その会社の代表権を誰れが持つかが決まります。その計画によって代表取締役に管理処分権が付与されるか、その後命令によって付された場合以外は、そのまま管財人にその権限があります。しかし権根が付与された場合と、更生手続が終結されるか廃止された後は、代表取締役に代表権が復活することになります。
更生会社に対する貸出債権は、大別して更生債権といい、更生手続によって規制された債権と、劣後債権といい一般の更生債権より劣後した取扱をうける債権と、共益債権といい更生手続によらずに弁済の受けられる債権、ならびに更生手続においてその債権の認められない無届などの債権とに分けられます。新たな貸出の場合、それが共益債権と認められれば、債権者としては更生会社に対して最も有利ですが、少なくとも更生債権と認められないと、更生手続においても保護されないために、その取扱には十分注意を要します。
更生手続申立前に貸し出された貸出金債権は、開始決定時までに弁済にならないかぎり、更生債権として取り扱われ、それが担保後であるか否かについて多少取扱は異なりますが、居出期日までにその届出をすることにより、更生計画によって支払をうけられます。しかも、申立後の弁済は原則として否認され、旧債弁済等の禁止の保全命令があると、その弁済は望めないことになります。
会社が更生手続の申立をした後になされた貸出金であっても、それが開始決定までに回収されていなければ、旧債としてその申立前の貸出金と同一の取扱を受けます。ただし、保全命令が出て借入が禁止されていると、裁判所の許可がないと貸出ができません。その場合でも裁判所の許可さえあれば、たとえ開始決定前にそれが回収されていなくとも共益債権と認められます。
更生手続の開始決定があると、その後の貸出は原則としてすべて共益債権と認められますが、一般には開始決定があると、同時に借入行為については裁判所の許可が必要であるという命令が出るために、この許可を確認して貸し出すことが大切です。この許可を得ない行為は無効であるために注意を要します。
借入行為について裁判所の許可が必要なことは、それが保全命令により禁止されている場合と、開始決定のときの命令による場合と、開始前の借入の場合とがありますが、その許可は、借入行為の時管理処分権を持つものからの裁判所に対する申請に対し、その申請書に許可決定をしてもらうことによりなされます。貸出しする者はその許可書の原本または写しを確認して実行すればよく、一般に許可を必要とする借入行為には、借用証書による借入や手形貸付の方法による借入が含まれることは当然ですが、その他にそれに準ずる取引についていかに取り扱うべきか問題のあるところです。
その点、更生手続においてはその規制のしかたが場合によって多少相違しています。保全命令では一般に、いかなる名目ないし方法をもってするを問わず金員の借入をしてはならないとし、開始決定前の借入許可については資金の借入れ、原材料の購入、その他会社の事業の継続に欠くことができない行為とし開始決定時の命令では単に借財のみを許可事項としています。

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