貸付先の法人の消滅

会社等の法人の中には、営業活動を廃止して営業所も事実上存在しないという状態のものがあります。格別株主総会の決議などで解散をして清算手続が未了というものでなく、事実上廃業をし休眠会社となっているものです。この段階では、法人の法人格は当然存続しており、旧来の代表者が引き続き代表権をもっていることになります。
ここで注意しなければならないことは、昭和49年の商法改正で、最後の登記後5年を経過した株式会社については、未だ営業を廃止していない旨の届出をすべく公告し通知をしてもその届出がない場合には、その会社は解散したものとみなされ、職権で解散の登記が行なわれることになり、休眠会社の整理促進がはかられることになったことです。
したがって株式会社については、法人の実態の消滅後日時が経過すると体眠会社として解散登記が行なわれ、残存債権債務があるときは清算手続等に移行することになります。もちろん解散会社となったからといって、会社の法人格がなくなるものではなく、清算会社は解散前の会住の法人格を持続するものであり、また会社の財産権や第三者に対する義務も解散によって影響を受けることはありません。
しかし清算手続に入った場合、債権の整理回収の相手方は代表清算人となるわけで、従来の代表取締役が行方不明等のときは、清算人の選任を求める必要が生じる等の手続上の制約がでてくるので、それ以前に債権の早期回収をはかるべきです。

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貸付先の実態が消滅しても、貸付金債権が残っているかぎり、つまり法人の清算が結了していないかぎり法人格は存続しており、貸付金債権も消滅することはありません。債権回収のためとるべき措置の第一は、貸付金債務の期限の利益を剥奪することです。銀行取引約定書の適用のある貸付については、廃業閉店は、支払を停止したときに該当し、当然に期限の利益を失います。そのうえで預金等が残っている場合には貸付金と相殺し、法人の残余財産の有無、担保、保証人の状況を調査し、これ等資産の追及に努めることになります。
法人の実態が消滅している設階で、期限の利益の喪失通知、預金との相殺通知あるいは時効中断のための催告等の意思表示をどのようにすればよいかは、法人の住所に法人の実態がない以上、当該法人の代表者を名宛人とした配達証明付内容証明郵便を代表者の自宅に出すことが考えられます。意思表示は直接本人に到達しなくとも、法人の代表者が了知可能の状態におけば到達の効果をもつと認められています。
法人および法人の代表者の住所が不明であるため意思表示が到達しないというときには、公示送達の方法によらざるをえません。
銀行取引約定書では、債務者に対し住所その他の届出事項に変更があったときに届出義務を課し、この届出を怠ったため通知が到達しなかった場合には、通常その通知が到達すぺきときに到達したものとみなすという特約を設けています。これは主として相殺通知等の簡素化のために設けられたもので、償務者との関係でに有効であっても第三者との開係ではその効果を主張でぎないとされているので、留意する必要があります。
主たる債務と連帯することのない通常の保証の場合には、保証人に生じた時効中断事由は、主たる債務者に対して中断の効力を及ぼすことはありませんが、実務上一般的である連帯保証の場合には、民法四五八条で準用している民法四三四条の規定により連帯保証人に対する請求は主たる債務者に対しても絶対的効力を有するので、連帯保証人に対する裁判上の請求等は、主債務の時効中断効果を持ちます。
実務的には、主たる債務者の住所が不明であっても訴訟提起は可能であるために、実態の消滅している法人および連帯保証人を共同被告人として請求訴訟を提起し、時効を中断します。
休眠会社として解散登記のあった会社等清算会社の場合には、会社債権者への催告に応じて債権を申出ることは、裁判外の請求として時効中断の効力を持ち、また清算会社からの知れたる債権者に対する債権申出の催告は債務の承認として時効中断の効力を持つことになります。
法人の実態が消滅していても、保証人、物上保証人の負担には影響がありません。法人の実態が消滅しただげでなく、法人たる主たる債務者が破産手続終了の結果、その債務を弁済することができないまま法人格を失った場合ですら、保証債務は主たる債務者がその債務の覆行をしない場合にその債務の履行をする責任を持つものであるということから、主たる債務者の消減により影響を受けないとされている破産手続以外で解散会社が清算結了の登記をした場合などでも同様に解されます。

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