貸付先の会社の合併

会社の合併には、二つ以上の会社がすぺて消滅し同時に一つの新しい会社を作る新設合併と、当事者の会社のうちの一つが存続し残りの会社が消滅する吸収合併とがあります。消滅会社について清算手続を経ることなく消滅会社の権利義務の一切が新設会社または存続会社に法律上当然に、かつ包括的に承継されることになる点で、営業譲渡等による事実上の合併、買収と異なります。
しかし、会社内容の悪い会社と合併することによって経営の危機を招く恐れがないとはいえないことから、法は合併手続において債権者のために、異議申込の機会を与えています。つまり会社は合併の決議をしたときは、債権者に対し二ヶ月以上の所定期間内に、合併に意義があれば申し出るよう催告および公告をしなければならないものとされます。この期間内に意義申述をしなければ、合併を承認したものとみなされますが、異議を申し出た債権者に対しては、弁済をするか、相当の担保を提供する等の措置を講じなければなりません。
したがって債権者としては、収引先の合併の相手方の経営内容、信用力、合併理由、合併条件そして合併後の会社の見通しを検討し、取引を継続するか否か、合併を承認するか否かの態度を早急に決定する必要があります。

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商法等による合併については、新設会社または存続会社が、権利義務の一切を当然に包括承継するわけですから、合併を承認するかぎり、債権者としては、会社合併後にも特に何らの措置をもとる必要はありません。ただ、自己の取引先が消滅会社となった場合の吸収合併や新設合併の場合には、商号や住所あるいは会社代表者等、従来の取引先とは全く異なる別の会社と取引を続けていくような形になるので、事後の取引関係を明確にする意味で、確認的に債務や担保等の承継についての確認書あるいは念証を徴することが実務上はよく行なわれます。なお、消滅会社が合併前に振り出したり引き受けたりした手形、小切手については、同様に存続会社、新設会社がその支払の責めに任じることになりますが、事務処理上の簡明さから、銀行実務では、存続会社、新設会社振出の手形、小切手と差し換える措置をとることが適切とされています。
会社の合併は、貸付金債権の担保、保証人の負担には何ら影響を与えません。もちろん、会社の合併によって、債務者の信用力には当然何らかの影響があったことは考えられますが、担保提供者、保証人は、将来の求償権者として合併手続における債権者保護手続にみずからその対象として参加し異議申込の機会をもっていたわけであり、それ以上の保護を与えるまでもないと解されているからです。継続取引における根抵当、根保証関係が、会社の合併によって当然承継されるか否かについては説が分かれるところです。根抵当については、民法は明文の規定を設け、元本確定前の債務者の合併については、合併後の存続会社、新設会社が債務者の地位を当然承継するものとする一方で、根抵当権設定者は根抵当権の確定を請求することができるとして、根抵当権者の保護を図っています。なお、根抵当は合併時に担保していた債務のほか、この確定請求をしないかぎり合併後に負担する債務は担保するが、合併前に当該根抵当の債務者でなかった会社の合併前の債務は担保しないので、担保の管理上留意する必要があります。
担保の管理上は、消滅会社から提供を受けていた担保については、存続会社、新設会社の名義に所有権移転登記をすみやかに実行させておくことが無難です。もちろん会社の合併は、担保に影響を及ぽすわけではありませんが、将来抵当権を実行する事態に陥った場合には、その物件について合併による所有権移転登記が完了している必要があり、存続会社、新設会社がその手続を怠っていたときには、債権者としてこれに代位して移転登記をする必要が生じてくることになるためです。

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