法人に対する貸付

法人をその目的により分類すると、公益法人、営利法人、中間法人の三種類に分類することができます。公益法人とは祭祀、宗教、慈善、学術、技芸その他公益に関する事業を目的とするもので、営利を自的としない法人です。民法上の公益法人には、日本医師会、日本相撲協会などがあります。そのほか学校法人、宗教法人、医療法人、社会福祉法人など特別法による公益法人もその数が多い。営利法人とは営利事業を目的とする法人でその典型が会社です。公益法人、営利法人のほかに、公益でも営利でもない中間の事項、例えば同業者間の利益の増進、同一職場で働く者の地位の向上などを目的とする団体がありますが、これらの団体で法人格を有するものを中間法人といいます。例えば労働組合、農業協同組合などがその例ですが、これらは特別法によって法人格を取得する途が開かれています。

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民法四三条は、法人は法令の規定に従い定款または寄附行為によって定められた目的の範囲内において権利を有し義務を負うと定めています。本条はいかなる種類の権利を享有しうるかという法人の権利能力の間題と、法人はいかなる種類の行為をなしうるかという法人の行為能力の間題の双方を規定するものと解されています。
しかしある行為が法人の目的の範囲内であるか否かについては、判例では最初は定款に記載された個々の事項に該当しない行為は目的の範囲外であると極端に狭く解していましたが、その後、目的の範囲内の行為とは定款に明示された目的自体に限局されるものではなく、その目的を遂行するうえに直接間接に必要な行為であれば、全てこれに含まれるものと解し、その判断の基準は当該行為が目的を遂行するにあたり、現実に必要であるかどうかによって決すべきでなく、行為の客観的な性質に即し、抽象的に判断すぺきだとしています。
このような判例の立場からすれば、およそ事業を経営する会社においては、借入という行為は当然会社の目的の範囲内に属するというべきです。
これに対して、公益法人、中間法人もその目的の達成のために必要なかぎり借入ができることは当然ですが、公益法人の性格から考えて、営利法人と異なり限定的に解すべきです。したがって、公益法人、中間法人に対して貸出取引を行なうにあたっては、登記簿謄本および定款または寄付行為を徴求して、当該借入が法人の目的達成のために必要なものであるかどうかを確認しなければなりません。
その他公益法人によっては、借入行為をすることについて、定款または寄付行為で特別の手続を要する旨定めている場合もあるので、この場合はその手続が確実に行なわれていることを確認しなければなりません。
法人が法律行為をするについては、法人自身は自分で法律行為をなすことができないために、現実には自然人の行為によらなければなりません。この自然人が法人の代表機関であって、代表機関が目的の範囲内の行為をした場合に、その行為が法人自体の行為と認められます。だれが法人の代表機関であるかは法人の内部組織によって決定されますが、貸出取引に際しては、必ず法人の代表者を確認しなければなりません。その方法は登記簿謄本または抄本を徴求して確認します。法人の代表者の代表権の範囲は法人の事務一切に及ぶのを原則とするが定款、寄付行為あるいは総会の決議によって代表権を制限することができるので、貸出取引をするに際しては、この点についても注意を要します。しかし、この制限は善意の第三者には対抗できません。会社の代表者については、数人の代表者が共同してのみ会社を代表することができる旨を定めることができます。 この定めは代表権の範囲を制限するものではなく、行使に関する制限ですが、登記がなされるとそれ以降取引をした第三者に対抗することができます。したがって、貸出取引をするに際しては、共同代表の定めの有無を確認して、その定めがある場合は共同代表者全員と取引をするか、共同代表者全員から共同代表者以外の者を代理人に選任してもらい、その代理人と取引をするようにすぺきです。共同代表の定めをおいている場合に、共同代表者の一人または数人が他の共同代表者に代表権の行使を包括的に委任することは無効とされていますが、個別的に委任することについては、有効説、無効説の争いがあり、学説は有効であるとする傾向が強いのですが、貸出取引をするに際しては、後日のトラブルを避けるためにも共同代表者一人との取引は避けるべきです。

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