手形割引

手形割引とは、手形の所持人が手形の満期前に換価のため、第三者に手形を譲渡し、その反面、譲渡の日から満期日迄の金利に相当する金額を手形金額から控除して受け取る取引をいいます。もっともこのような説明は手形割引の法的性質を売買とみる通説的見解に従っているものといえます。
手形割引が広く行なわれる理由は、割引依頼人にとり、手形期日前に資金を回収し、その固定化を免れること、回収手続が簡単なことや、割引者にとっても再割引による換金の途もあり、割引料は実質的に利息に相当するところから、取益手段として利用できる点にあるといわれています。

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手形割引とは法典用語ではなく、実務上の金融取引用語であるために、それには種々の態様のものが存在します。例えば銀行における手形割引のほか、街の金融業者の行なう手形割引等がありますが、主に銀行の手形割引を指します。そして銀行の行なう手形割引にも、商業手形の割引、銀行引受手形の割引、荷付為替手形の割引があります。
手形割引の用語自体、金融実務用語にすぎないことから、その法的性質を判断することは困難で各種の見解の対立があります。売買説、割引依頼人は自己の所有する手形を有償で銀行に売却し、その譲渡代金を受け取る取引が通説といえますが、手形割引に伴う法律関係を判断するうえで、消費貸借説、取引先の取得した手形を担保として、その者に対する金銭消費貸借契約によってなされる取引も有力に主張されており、その他、併存説、一個の手形取引によって、売買契約と消費貸借契約の両方が成立することや、無名契約説、その性質は手形割引の当事者の意思、取引慣習、取引約定書の文言等より定まるもので、民法の規定する有名契約以外の無名契約であるとみることもも主張されています。
銀行による手形割引では、銀行取引約定書の定めに徒って法律関係は確定され、その約定文言からすれば売買説が正しいものと考えられます。銀行取引約定書六条一項では、当該手形が不渡とならなくても、一定事由が発生すれば、貴行から通知、催告等がなくても当然、手形面記載の金額の買戻債務を負い、直ちに弁済いたします。旨の文言があり、依頼人の形成的買戻義務の発生を定めていることからすれば、手形の不渡によって消費貸借上の債務の弁済期が到来するとの消費貸借説はとれません。しかし、銀行によらない、街の金融機関による手形割引で、銀行取引約定書を使わない場合には、消費貸借契約の成立を否定できないであろうとの主張もなされています。
割引依頼人から割引人、主に銀行に割引申込があると、割引人は各種審査を行なったうえで、手形の交付を受け、手形金額から割引料と取立手数料を控除した残額を依頼人に交付します。
割引料とは、割引銀行が依頼人から徴求する、割引日から支払期日迄の利息相当額をいうとされており、それは一定の割引率で計算されることになりますが、手形割引の法的性質を売買と考える以上、金銭消費貸借における法定果実としての利息と考える余地はなく、したがって利息制限法の適用はないといわざるおえません。しかし割引に際し不当に高利の利息が徴求されるのを放置することは好ましくないために、そのような場合には、公序良俗違反として、不法原因給付により利息の返還請求を認めるべきです。もっとも利息制限法の適用を是認すれば理論的に明解ですが、その場合は少なくとも手形割引を消費貸借とみなければなりませんが、割引率の算定に関してのみ消費貸借説をとるのは、論理的一貫性を欠くといわざるをえません。
手形割引については、一部割引、手形全額の一部についてのみ割り引くもので、それは依頼人にとって全額割引を受ける資金の必要性がない場合や依頼人に対する取引上の融資限度額を超過する場合にまれに行なわれるものが行なわれることもありますが、それは法律上は手形債権の一部譲渡であると考えられます。その場合、権利移転の実体関係どおり、一部裏書きをすることはできないので全部裏書の形式をとらざるをえませんが、その際の法律関係については諸説が対立しており、割引全額分は正式の譲渡となり、それを上回る金額については、隠れた取引委任裏書がなされたものとみられます。銀行取引実務上は、手形期日の決済があった際に、超過額を依頼人の預金口座に入金する方法によっています。また、割引人たる銀行は、当該手形を日銀で再割引することにより換金することも可能です。

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