当座貸越

預金の一種に当座預金があります。これは預金者が振り出す小切手や手形の支払資金にあてるための預金で、普通預金や定期預金のように預けること自体を目的としたものではありません。一般の預金口座がきわめて簡単な手続で開設できるのに反し、当座預金の基礎となる当座勘定取引は手形、小切手の利用資格の付与を伴うため、開設の申出があっても、銀行は無条件でこれに応じることをせず、信用調査に合格してはじめて取引をはじめます。
小切手はともかく、手形は手形法上別に銀行が関与することを要求しません。しかし実際上、銀行を支払場所とした手形以外は簡単に流通せず、利用価値がありません。当座預金を持った顧客だけが手形、小切手を振り出すことができ、その手形等が直接または手形交換所を経て取引銀行にまわって来ると、銀行は当座預金から引き落します。したがって振出人は遅くとも手形が銀行に届く時までには、これを決済するに足るだけの金額を当座預金の口座に入れておかねばなりません。当座預金が不足すると、不渡ということになり、手形交換所のある地区では交換所の規則によって然るべき制裁を受けます。

スポンサーリンク

お金を借りる!

例えば支払手形の決済が毎月20日、従業員への給与の支払が23日で、この両日にまとまった現金が必要になるのに、売掛金の現金回収と受取手形の満期は25日頃が多い、という会社があったとします。この会社では、毎月定例的に下旬の一週間ばかり特に資金が苦しくなります。これを賄うために毎回ごく短期間の手形貸付を受けるのは手数が面倒であり、かといって常時借りっぱなしにしておくと利息負担が大きい。このような場合に、当座預金の不足分を一時的に銀行が立替えて、支払手形を決済してくれると、非常に好都合です。このような要請に応えて、銀行と顧客との間の契約により、当座預金の残高を超えて一定限度までは銀行が立て替えて支払うことがあります。この契約が当座貸越契約であり、この契約に基づく取引が当座貸越取引です。
自分が支払資金を用意してないのに、銀行が手形小切手を決済してくれるのであるから、経済面からみて貸付にあたること、少なくとも銀行の与信行為にあたることは疑いがありません。そのため銀行の勘定科目でも、貸付金の中の一項目としています。しかし、その法律的性質については様々な説が併立しています。
必要な期間、金額だけ利用して、その分に対してだけ利息を払えばよい当座貸越は、顧客にとっては都合のよい制度です。しかし銀行にしてみれば、使われるかどうかわからない資金を常時ある程度準備しておかねばならず、しかも残高の変動が激しいために、他の貸付に比べて利息計算が繁雑で手数がかかります。
そのため、銀行はこれをあまり歓迎せず、利息も割高です。
当座貸越契約の内容は、必ずしも各行完全に統一されてはおらず、古い契約は当座勘定借越約定書という標題を用いるものが多くありましたが、当座貸越取引と呼ぶ一般の用語法に従って改められました。この約定は、これだけが単独に結ばれることはなく、基本取引および当座取引の存在が前提となります。
貸越極度額とは、当座預金残高を超過していくらまで支払に応じるかの定めです。この極度額をさらに超えた手形、小切手がまわって来た場合は、不渡になっても仕方がありません。しかし銀行の裁量によって支払うことはあり、その分は取引先は直ちに弁済しなければなりません。
実際上期限を定めない例が多いそうで、期間中取引先はいつ借越していつ返してもよいが、銀行からは返済を請求できません。ただし、銀行取引約定書五条に該当するような事態を生じたときは、銀行側から当座貸越契約を解除し、または解除しないままで、貸越元利金の即時支払を求めることができます。取引期限を定めた場合にその期限が到来し、または合意解約によって当座貸越契約が終了したとき、取引先が即時支払の義務を負うのは当然です。
当座貸越取引も銀行取引の一環であるために、銀行取引を被担保債権として設定した根抵当権は、当座貸越債権をも当然にカバーします。また基本取引上の保証人は、当座貸越取引上の債務についても保証責任を負います。そのほかに、取引先が取立のために当座預金口座に振込んだ手形、小切手その他の証券額は、貸越債権のための譲渡担保となる旨の約定があります。

お金を借りる!

割賦販売での金銭貸借/ 買戻約款付売買と金銭貸借/ 建設協力金/ 金銭貸借とリース契約/ 金銭貸借と金銭預託/ 当座貸越/ 手形貸付/ 手形の書替/ 融通手形/ 手形割引/ 手形買戻請求権/ 手形担保貸付/ 法人に対する貸付/ 権利能力のない社団への貸付/ 未成年者と金銭貸借/ 実印持参者との金銭貸借/ 貸付先の死亡と金銭貸借/ 個人貸付先の法人成りと金銭貸借/ 貸付先の会社の合併/ 貸付先の法人の消滅/ 更生会社に対する貸付/ 貸付先が更生会社/ 貸付先の破産宣告/ 貸付先に対する意思表示/