建設協力金

ビルを建てるには巨額の資金を必要とします。しかし貸ビル業者に対する大手金融機関の融資ランクは低く、そこでこれを補うために、貸ビルを建てようとする者が、当該ビルの入居予定者から、長期、低利の資金を借り受げけることを思いつきました。これが建設協力金のはじまりです。
デパートやホテルなどの営業者が、市街地目抜き通りの土地所有者に誘いかけ、建設資金の全額を貸し付けて、入居者の注文どおりのピルを建てさせ、完成後まるごと賃借する例もあります。これも建設協力金の一種です。初代の入居者でなく、既設ビルの空室を賃借するテナントが納入する金を入居保証金といいます。ビルの建設が中止または縮小されて入居できなくなったときいかに処理すぺきかといった、建設協力金特有の間題もありますが、ビルが完成してテナントが入居してしまえば、両者は同じものと考えられます。
この他テナントが差し入れるものに保証金、権利金、敷金などがありますが、いずれも正規の法律用語でないため、厳密な定義はつけがたく、現実にはこれらの中問的、混成的な性格をもつものが多くなっています。

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建設協力金の法律的性質は、基本的には、賃貸借契約と密接に結びついた金銭消費貸借といえます。付随的に、賃料その他テナントの負う債務の担保である敷金としての要素と、賃貸借期間の約定に反してテナントが早く退去する場合の罰金、オーナーの賃料収入期間の保障としての要素を有しています。
建設協力金についての約款は、単なる消費貸借でも、敷金契約でもなく、消費貸借契約と賃貸借契約とが不可分に結合した無名契約であるとした下級審判例があります。しかし無名契約であるというだけでは、法的性格を示したことになりません。
建設協力金発祥の趣旨やオーナーとテナント間の力関係の差から、通常の金銭貸借に比べて、借主にとって著しく有利な内容をもつものが多くなっています。
10年間据置、その後10年にわたって1割ずつ年賦償還というのが平均的な約定のようです。貸付を伴うときは、当然ピル賃貸借の約定期間は20年以上に及びますが、中途解約等によって、建設協力金完済前に賃貸借契約が終了した場合に間題が生じることとなります。この場合には次の処理方法が考えられます。
退去と引き換えに建設協力金を全額返済する。
一定期間経過後または次のテナントが入った時に返済する。
退去の時期いかんを間わず、建設協力金の返済は当初の約定どおりとする。
契約で明示している場合は、原則としてそれに従う。契約において前記のいずれを採るかは、これまた両当事者の力関係がものをいいますが、ビル賃貸借のようにすぐれて商事取引的な色彩の濃い契約においては、当事者の合意を尊重すぺきであり、社会政策的な配慮によってあとから裁判所が契約を修正するのには慎重でなければなりません。
賃貸人の申出に賃借人が応じて賃貸借契約が終了したとき、および賃借人が解約を申入れ、賃貸人がこれを受けて新入居者と賃貸借契約を結び、入居保証金を収受したときは建設協力金を返還すると定めていましたが、賃借人の債務不履行に基づいて賃貸人が解除したときについては約定がなかった場合の処理をめぐって、建設協力金は賃貸借契約に付随して貸付、授受されるものであり、将来返還の予定されるものである以上、賃貸借契約の終了により当然返還されるべきものです。特約があれば格別、賃貸人が既に当該貸室を第三者に賃貸し、新たに建設協力金を受領した以上、先の賃借人からの建設協力金を保有すべきでないことは同金員の性質、授受する目的からして明らかで、返還すべきであるとした判例がある一方で、新しい入居者から別途保証金の交付を受けたとしても、前の保証金を即時に返す必要はなく、約定どおりでよいとした判例もあります。
通常の銀行貸付の利息が一割程度であるのに対し、建設協力金の利息は、据置期間中は無利息、その後は年2%というあたりが多いといわれます。このように無利息ないし極めて低利の資金を運用できることは、経済的にみて、標準金利との差額だけ、賃料を上乗せしたのと同じです。テナントは通常の金利で調達した資金を提供するのですから、その分損出を受けています。この経済的機能は、前記の中途解約時の返還是否を判断するときにも、考慮に入れねばなりません。
建設協力金は、テナントがオーナーに対し多額の金員を長期間にわたって貸し付けるのであるために、テナントにしてみれば、オーナーの信用状態に無関心たりえません。しかし前記したデパートやホテルがビルの大部分を借りるような場合を除き、建設協力金を担保するために抵当権や保証人を徴する例は稀です。現実にビルを占拠しているという強みがあるために、入居期間中は担保を徴する必要性が低いともいえます。

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