譲渡担保

譲渡担保とは、担保の目的たる権利を債権者に移転する形式によって、財産を担保化するもので、担保権者は、その権利を担保の目的のためにのみ利用する義務を負うことになります。担保の自的で、権利移転の形式を借用するのは、譲渡担保のみにとどまらず、このほかに売渡担保や仮登記担保があります。売渡担保とは、売買によって権利を内外ともに移転し、買戻の特約または再売買の予約にもとづいて、議渡人は譲渡した権利を回復することができるのに対して、譲受人は譲渡を受けた権利を返還してその代金の返済を求めることができないものです。実質的には金融の手段としてこのような取引が行われますが、譲渡した権利によって担保される債権が存在しない点が、譲渡担保とは異なります。かつの判例は、両者を区別しませんでしたが、これを明確に区別した最初の判例は、大審院昭和八年四月二六日判決です。

スポンサーリンク

お金を借りる!

仮登記担保とは、債権者と設定者が、債権担保の目的で特定の不動産につき、停止条件付代物弁済契約、代物弁済予約または売買予約をして、債権者が債務を履行しなかったときは、その権利を移転することを約し、その契約上の権利を確保するために仮登記制度を利用するものです。不動産の譲渡担保と似ていますが、譲渡担保権者が担保の目的たる権利を契約締結と同時に取得するのに対して、仮登記担保権者は、担保権実行の段階になって担保の目的たる権利を取得する点が異なります。当事者が、法律で認められた質権、抵当権等の担保物権を設定しないで、成文法に根拠がない譲渡担保を設定するのは、その経済的目的に十分にこたえる担保物権が存在しないためです。企業、営業を構成する動産や集合物を担保にとる場合に、その対抗要件は引渡ですが、占有改定の方法によることが許されない質権を設定したのでは、その目的を達することができません。不動産を担保にとる方法としての抵当権の設定にも、競売手続に手数や費用を要し、しかも、時価に比べて相当安い価額で処分される場合が多いこと、後順位担保権や用益権の設定により抵当権が害されるおそれがあることなどの欠点があり、担保権の実行がほば確実に予想される場合には、債権者としてはさらに強力な担保を欲することになります。
譲渡担保については、その借用する法律構成を重視する見解と、その実質が担保であることを重視する見解とがありますが、どちらの立場をとる者も、現在ではできるだけ設定者を保護してその効力を適当に制限しようとする点ではほぼ一致しています。それで、現在の判例、通説によれば、譲渡担保権者が債権を回収するために譲渡担保を実行した場合には、次のような結果となります。
担保権者が債権を回収するために担保物件を処分したり、確定的に取得することにした場合に、物件価額が被担保債権額を超えているときは、必ず清算してその差額を設定者に交付しなければなりません。たとえ、清算をしない旨の特約をしても、その効力は認められません。
譲渡担保権者は、被担保債権の全額について優先弁済を受けることができ、特定債権を担保するものに民法三七四条は準用されないために、利息、損害金が満期となった二年分に制限されることはありません、不動産の根譲渡担保についても、被担保債権の極度額を定める必要はありませんが、その定めをしたときは、超過額については優先弁済を受けることはできません。なお、利息制限法の制限を超過する利息を取得できないのは当然のことで、もし譲渡担保権者が取得したときは、その返還請求ができます。
譲渡担保権者が設定者に対して清算金の支払を終るまでは、設定者は債務を弁済して担保物件の返還を受けることができます。しかし、第三者が譲渡を受けて対抗要件を備えているときは、このかぎりではありません。

お金を借りる!

破産債権と財団債権の概念/ 別除権者の有する破産債権/ 企業破産と給料、退職金/ 多数債務者に対する破産債権/ 債務者の破産と保証人の地位/ 破産財団の意義と範囲/ 破産宣告の効果/ 賃貸借契約と破産/ 取締役の地位と破産/ 他人の生命の保険契約/ 破産管財人と保険会社/ 財団債権/ 財団債権の範囲/ 財団債権の弁済/ 財団債権の行使/ 取戻権/ 代償的取戻権/ 仮登記担保/ 仮登記担保権の破産手続上の地位/ 譲渡担保/ 譲渡担保の担保権者の破産/ 所有権留保/ 売主の取戻権/ 支払停止と回り手形債権/ 動産の特別先取特権/ 商事留置権/ 相殺に供される債権の種類/ 相殺権の制限/ 破産法による相殺権の制限/ 手形の買戻請求と預金債権の相殺/ 当座振込と貸金債権との相殺/ 相殺権の濫用/