債権の消滅原因

債権関係は、その目的、内容が実現すれば必然的に消滅するもので、一方において債権の本来の目的、内容が達成しないことに確定した場合においても、債権はその手段としての現実性を失うために消滅します。債務の弁済は前者の場合の典型で、履行不能は後者の場合の典型です。この二つの消滅原因を両端として、その間に代物弁済、供託、免除、相殺、更改や契約の解除、取消などの当事者の行為による消滅原因や、解除条件の成就,期限の到来、混同、消滅時効の完成などの当事者の行為によらない消滅原因があります。

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買主が代金を支払うとか、借主が借金を返済するとか、請負人が仕事を完成するというように、債務の本旨にしたがってその内容たる一定の行為をすることを弁済といいます。弁済の当事者は、弁済者と弁済受領者です。弁済者は通常は債務者ですが、必ずしもそれにかぎらず、債務者の代理人や委託をうけた者はもちろん、債務者の意思に反しないかぎり第三者でも弁済者として弁済することができます。弁済した第三者は、債権者の持っていた債権を債務者に行うことができます。これを弁済者の代位といいます。弁済受領者は、通常は債権者ですが、債権者でも受領者とはなりえない場合もあり、債権者の代理人、受取証書の持参人、指図債権の証書持参人などが弁済受領者になることもあります。なお盗人が預金通帳と印鑑を持参した場合のような債権の準占有者に対する弁済も、弁済者が善意、無過失の場合は有効となります。
弁済の場所は、特約のないかぎり、特定物の引渡については債権発生の場所で、その他の債務は債権者の現時の営業所または住所です。つまり持参債務を原則とする事になります。弁済に要した費用は、特約のないかぎり債務者が負担します。
弁済の提供とは弁済者が自分のなすべき行為を完了し、債権者に受領その他の協力を求めることです。債務者がこの弁済の提供をしたのに、債権者がその受領を拒めば、償権者遅滞となります。債権者があらかじめ受領を拒んでいるような場合には、弁済の準備をしたことの通知だけでかまいません。これを口頭の提供といいます。
有効な弁済がなされれば債権は消滅します。債権担保のために質権や抵当権が設定されていたなら、これらの担保も消滅します。弁済者は受取証書交付請求権と、借用証書のような債権証書がある場合には、その返還請求権が認められます。例えば数個の債務があって、弁済として提供された給付が総債務を消滅させるに足りないときは、それをいずれの債務に当てるべきかが問題となります。いわゆる弁済充当の問題です。当事者間に特約がない場合は弁済者がいずれの債務に充当するかを定め、これをしないときは弁済受領者が指定します。当事者がこれをしないときは、法定の順序にしたがって充当されます。つまり元本債権のほかに利息、費用を払わなければならない場合は、費用、利息、元本の順にすることになります。
債務者は、債権者の承諾を得て、50万円の支払いに代えて自動車一台を引渡すというように、本来の負担した給付に代えて他の給付をなすことによってその債務を消滅させることができます。そうすることの契約によってなされますが、その効果は弁済と同じに理解してかまいません。
弁済に当って債権者の協力を必要とする場合に、債権者の協力が得られなければ、弁済を完了することができません。このような場合に、債務者は弁済の目的物を供託所に寄託して、債務を免れることができます。これを弁済供託といいます。供託は物について認められていますが、金銭や有価証券についてもなされます。それは履行地の供託所、法務局に対して行われます。供託者はすぐに供託をしたという通知をしなければならず、供託によって債権者は供託物の交付請求権を取得します。
当事者間に同種の目的をもった債権が対立して両債権いずれも弁済期にあるときは、各債務者は現実の弁済をせずに、その意思表示によって反対債権をその対当額において消滅させることができます。これを相殺といいます。例えばAがBに対して10万円の賃金債権があり、BがAに対して8万円の代金債権がある場合、ABいずれもが相殺によって対当額8万円の債務を消滅させて、Bの残額債務2万円だけを残すというのがこれになります。相殺の意思表示がなされた場合には、その効力は相殺をするための条件を満たした時に遡って生じます。これを相殺の遡及効といいます。消滅時効にかかった債権でも、もし時効完成前に相殺適状にあったのであれば、後から相殺することが許されます。
新しい別の債権、債務を成立させることによって、もとの債権、債務を消滅させる契約を更改といいます。更改には債権者または債務者の交替によるものと、内客の変更によるものとがあります。たとえば自動車1台の引渡債務にかえて、50万円支払う新しい債務を負うというのがこれです。50万円を現実に支払うならば代物弁済ですが、50万円支払いの新債務を負い、それによって前の自動車引渡の債務を消滅させるというところに更改の待徴があります。
免除とは債権者が債権を放棄する行為であって、債務者の承諾を必要としない一方的意思表示です。免除により債務は消滅しますが債務者がこれを欲しない場合には利益を強いる結果になるために、これを単独行為ではなく契約としたほうがよいという考え方もあります。
混同とは、債務者が債権者を相続した場合のように、対立する債務と債権が同一人に帰属するという事実です。この場合は債権が第三者の権利の目的となっている特殊な場合を除いて、債権はその存在理由を失って消滅することになります。

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