相続の効力1

AはBから建物を借りて、内縁の妻Cと住んでいます。Aには先妻の子Dがおり、Aとは別なところで、家庭をもっています。Aは、ある日、Eの自動車にひかれて即死しました。Eの過失によるものでした。
BはCに借家の明渡を請求しました。Cはこの借家に住むことができないでしょうか。
Dは、父Aの住んでいたところが広いところから、そこに住もうと考え、相続人として、Cに明渡を請求しました。認められるでしょうか。
Dは、Eに対し、父Aの慰謝料請求権を相続したとして、請求します。認められるでしょうか。
CはEに対し、固有の慰謝料を請求することができるでしょうか。

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借家権の相続に関する。借家権も財産権として普通に相続されるべき権利といっていいから、ここでの問題は、内縁の妻や事実上の養子といった相続人でない同居家族の居住をどのようにして保護すべきか、という点にあります。この点について判例は、借家権の承継については相続法理を全面的に適用しながら、その活用の範囲内で現往者の居住権を保護しようとしています。内縁寡婦は、内縁の夫死亡後、その相続人の賃借権を援用して、賃貸人に居住の継続を主張できるというのです。この理論は内縁の妻に事実上の居住、使用収益を認めるにすぎないけれども、それによって内縁の妻の居住が確保されることは確かです。CはBに居住の継続を主張できます。
次に相続権のない同居家族と相続人の関係が問題となります。相続人は同居者の居住を拒絶して家屋の明渡を請求できるでしょうか。借家権の承継を相続法理によって解決する立場をとる限り、相続人との関係で同居者の居住を完全に保護することは無理があります。すなわち、同居者を立ち退かせるのが不当と判断されるときには、権利濫用などの法理をかりて相続人の立退請求を否定するほかありません。そのため、賃借権とは一応別個の居住権という概念を構成して、問題を抜本的に解決する試みがなされることになります。
生命侵害に対する慰謝料請求権の相続を認めるのが判例です。精神的苦痛はすぐれて一身専属的性質のものであり、被害者が精神苦の賠償を請求する意思があったかどうかも問題です。そう考えて判例は長い間、被害者が請求の意思を表示した場合に限って相続されるという立場をとっていました。しかしそれでは、即死した場合には問題の解決になりません。そのため最高裁は当然の相続を認めることに踏み切ったわけです。Dの請求は認められます。
判例は、内縁の夫が死亡した場合に、内縁の妻に民法七一一条による慰謝料請求権はないとしています。しかし、内縁を婚姻に準ずる関係としてとらえる以上、内縁の妻にも固有の慰謝料請求権を認めることは何らの差支えもないと解されます。

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