夫婦の財産関係2

夫Aは妻B、子Cを残したまま家を出て、D女と暮しています。
別居中、Aは乗用車を購入しましたが、代金を完済していません。Aが転居して行方がわからないとき、売主はBに対して残代金を請求できるでしょうか。
別居中、Bは生活費に窮したので、Aの実印、権利証を持ち出し、A所有の不動産をEに売却し、その代金を生活費にあてました。後日AはEに対して売買の無効を主張できるでしょうか。
AがDとの関係を断たないため、将来に不安を感じたBは、Aにつよく財産上の保障な求めた結果、Aは、現在B、Cの住んでいる家屋の所有権をBに贈与する旨約しました。後、BがAにその履行を求めたところ、Aは贈与を取り消すといいだしました。取消は認められるでしょうか。
A、Bが以前同居していた当時、Aの収入によって買った家具は自分のものだとAは主張し、その引渡をBに求めました。Aの請求は認められるでしょうか。

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乗用車の購入が日常家事に入るか否かは個別的、具体的にみるべきですが、乗用車が普及し、生活必需品になっている現状では肯定されます。A、Bは別居し、それぞれ独立して生計をたてていれば、民法七六一条の適用をみないことになりますが、売主において乗用車購入が日常家事の範間内に属すると信ずるにつき正当な事由がある場合には、一一〇条の趣旨が類推適用され、売主はBに対し残代金を請求できます。近時の判例もこれを認めています。
別居中は妻の権限内の日常の家事の範囲は拡大し、生活費を調達するためにA所有の不動産を売却する行為は日常家事の範囲に入るとみられます。また、たとえ入らないとしても、事情によってはBのAを代理する権限を基本権として表見代理の成立を認める余地もあり、いずれにしてもAはEに対し売買の無効を主張しえません。判例は家事代理権の存在を基礎として表見代理の成立することを否定するため、妻による夫の不動産売却行為は射程距離外に出てしまいます。また、夫より妻に黙示または明示の授権があったとしても、判例は妻が夫の実印を所持し、行使しただけでは妻に権限ありと信ずべき正当な理由とはならないとするなど消極的態度をとっています。
夫婦間の契約取消権について、判例は夫婦関係が破綻し、その実質を失っている際の取消権の行使につき、権利の濫用、あるいは取消権そのものの否定によりなんらかの制約を加えます。夫婦開で財産を所有するのは夫であり、婚姻関係の破綻の状況で問題になることを前提にすれば、判例の傾向は是認されます。したがって、Aの取消権の行使は権利の濫用として許されず、Bはその居住家屋の所有権を取得します。
婚姻中夫婦の一方の収入で購入した家具でも共同生活に必要なものはともに夫婦の共有財産になると説かれます。別産制が妻に不利に働くのを救う解釈として支持されます。したがって、A、Bはそれぞれ二分ノ一の持分を有することになり、AはBに対し家具全部の引渡を主張できません。

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