夫婦の財産関係1

結婚したA、Bには子Cがいます。はじめは夫婦円満でしたが、そのうちA男はバーの女性Dと仲よくなり、ついに家を出てアパートを借り、D女と同棲するに至り、Dに子Eを生ませました。もはやAはB、Cのもとに帰りそうにありません。
Aは月給全部をDに渡しています。Bは内職に従事し、月二万円の収入でCを養 っています。他にそれそれ財産はありません。B、CはAにどのような基準に従った婚姻費用を請求できるでしょうか。今後の婚姻費用だけでなく、別居以来の過去のものをも請求できるでしょうか。なお、婚姻費用と扶養との関係はどうなるでしょうか。
婚姻費用が最終的に家庭裁判所の審判できまることは、裁判の公開、対審を保障する憲決八二条一項に反しないでしょうか。
Bは、AおよびDに対して損害賠償を請求しできるでしょうか。A、Dともに責任があるとすると、両者の関係はどうか。BがAの責任を免除したとき、Dの責任はどうなるでしょうか。

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夫婦間の生活費請求について、婚姻費用の分担義務と夫婦の扶助義務との関係が問題となります。婚姻費用はその性質上婚姻生活共同体の存在ないしはその存在の可能性が前提にされねばならず、別居していても、将来共同生活の回復の可能性がある場合に、その適用が問題にされ、もはやその期待がないときは扶助の問題に移行すると思われます。判例は両者は機能的には同じであるとし、どちらで請求してもよいとするため、B、CはAに婚姻費用の分担を請求できることになります。その分担額はAと同一水準の生活を保障する額ですが、Aが現実に要する費用のうち、Dの生活費は除外され、Eの養育費は斟酌されます。したがって、Aの収入にBの収入を加えた額を基礎にしてA、B、C、Eの生活費を算出し、B、Cの生活費から二万円を差し引いた額がB、Cの請求できる婚姻費用となります。
過去の婚姻費用の請求はできると解されていますが、遡及しうる限度は明確ではありません。婚姻費用の分担請求権の特殊な形成過程に着目すれば、A、Bが別居したとき以降の費用を請求できると解すべきです。
最高裁は婚姻費用の分担義務の存否の確定とその具体的内容を形成する処分とに峻別し、婚姻費用分担の審判は後者を対象にし、前者については通常訴訟で争う違が開かれているから、審判は合憲であるとしています。このように峻別されるかは問題です。それよりも、家事事件の当事者間の相矛盾する二つの利益、すなわち、対審、公開の処理により保護される財産的権利などの利益と家事事件の特殊性のゆえに非対審、非公開で擁護されるプライバシーなどの利益とを考量し、前者よりも後者の保護の要請が大きい事件は非対審、非公開でも合憲と考えることができ、婚姻費用分担の審判はこの範囲に入ります。
A、Bは互いに守操義務を負うため、Aは当該義務に違反し、不法行為責任を負います。Dも責任を免れません。ただ、BがAに対し損害賠償を請求できるのはAとの婚姻を継続する意思を欠く場合にかぎられます。BがA、Dに損害賠償を請求する場合、A、Dは共同不法行為者として正連帯債務を負うため、BがAの責任を免除してもその効力はDには及びません。

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