婚約

A男は学生時代に知りあったB女と、ひそかに将来を誓い、二人は同棲はしないで、BがAの下宿を訪れるという形で交際しており、双方の両親もこのことはまったく知りませんでした。Aは大学を卒業して会社に勤務したところ、重役の令嬢Cとの縁談がもちあがり、Aはこの女性と結婚しようとしています。
A、B間に婚約が成立しているといえるでしょうか。婚約が成立したとすると、BはAに対し、いかなる請求をすることができるでしょうか。
交際中、結婚を前提としてAからBへ、BからAへと結納その他の金品を贈っていたいたとすると、A、B間の関係が切れたとき、双方は返還請求することができるでしょうか。
BがAの子を生んでおり、Bは子を嫡出子にするため、直ちに離婚するという約束で、一時婚姻届を出してほしいとAに懇請しました。Aはやむなくこれに応じ、その後、C女と結婚するためBに離婚届の署名、捺印を求めたところ、Bはこれを拒みました。AのBに対する婚姻無効確認請求は認められるでしょうか。

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婚約の成立には結納の授受などの形式は必要ではなく、当事者間に将来夫婦になろうという合意があればよい。この合意は当事者間の外部に現われた諸関係から推測せざるをえません。A、Bが同座したこともなく、その関係を双方の親に打ち明けることもかく、Aの下宿で交際を続けたが、A、Bがひそかに将来を暫い合って肉体関係を相当長期間継続したのであれば、多少問題はあるにしても、「閨房の睦言」とはいえず、婚約の成立を認められます。判例もこのような場合に婚約 の成立を認めています。A、B間に婚約が成立しても、そのことでA、Bは婚姻の履行を強制されません。しかし、AがCとの縁談のために婚約を破棄した場合は、BはAに対し婚約の不当破棄を理由に損害賠償の請求ができます。この際、債務不履行責任か、不法行為責任かは婚約関係の法的性格をいかにみるかにかかります。
結納その他の金品の授受は婚約の成立を確証するとともに婚姻が成立した場合に当事者双方の情誼を深くする目的で授受される慣習上の贈与です。A、Bの婚姻が実現されなければ、この贈与は法的効力を失うから、不当利得として返還しなければなりません。もっとも、Aはみすがら婚姻を成立せしめなかったのであるから、AがBに返還請求するのは権利濫用になります。
婚姻の成立には、婚姻意思の合致を不可欠としますが、一般に、婚姻意思は社会観念上の夫婦関係の創設を欲する意思と解され、本問では、それは他の目的のための便法として仮託されたにすぎず、婚姻意思を欠き、婚姻は無効とされます。この立場では、AのBに対する婚姻無効確認の請求は認容されます。ところが、届出意思をもって婚姻意思とみれば、届出そのものについてA、Bの合意があるから、婚姻は有効となります。しかし、この場合、法律上の夫婦関係の創設を欲する意思を問題にすべきです。A、Bは法律婚を認識し、届出をすれば嫡出子になることを知り、かつ、それを享受するために届出したのであって、法律婚の効果とは無関係の他の目的のために届出をした場合とは異なります。したがって、A、Bには婚姻意思の合致があり、婚姻は有効であって、Aの婚姻無効確認の請求は認められません。

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